国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の議長を務めるアラブ首長国連邦(UAE)のスルタン・アル・ジャベール産業・先端技術相兼気候変動特使兼アブダビ国営石油会社(ADNOC)CEO兼マスダール会長は7月13日、ベルギーのブリュッセルで開催された第7回気候アクション相会合に出席。11月に開催されるCOP28での自身の行動計画を発表した。
ジャベール氏は今回、「気候変動は、私たちが共有する最大の課題であり、私たちは、すべての人、すべての世代、社会の隅々を巻き込むことによってのみ、この課題に取り組むことに成功する」と表明。COP28では重要議題として、「移行の迅速化」「気候ファイナンス」「人・生命・生活」「完全なインクルージョン」4つを設定することを伝えた。
さらに、各国の国別削減目標(NDC)の引上げの必要性も強調した。パリ協定では、5年毎にNDCの見直しを行う「グローバル・ストックテイク」の実施が規定されており、COP28では第1回グローバル・ストックテイク最終化が予定されている。ジャベール氏は、COP28での政治交渉の準備を進めるため、南アフリカのバーバラ・クリーシー環境・林業・漁業相、及びデンマークのダン・ヨルゲンセン開発協力・グローバル気候政策相に支援を要請した。またジャベール氏は今回、COP28では、再生可能エネルギーを2030年までに3倍に増やすことに合意すべきとも語った。
COP28が産油国UAEで開催されることや、国営石油会社トップが議長を務めることについては、発表当初から批判的な声が多い。サイモン・スティール国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長は6月、石油業界での経験から得たジャベール氏の「ユニークな洞察」を歓迎する声明を発表していた。
今回の発表に関し、国際環境NGOのThe Climate Group(TCG)は同日、ジャベール氏が国以外の地方政府の可能性を追求しようとしていることを歓迎。世界資源研究所(WRI)は、今回2人の閣僚が調整役に指名されたことを歓迎した。
気候シンクタンクE3Gも同日、ジャベール氏が掲げた方向性を支持。一方、COP28では化石燃料の段階的廃止を決議する必要があると言及し、石油ガス業界は、スコープ3の排出責任を果たすとともに、ロス&ダメージの資金調達に関するギャップを埋めるための早期の誓約をすべきと語った。
【参照ページ】Climate Group CEO welcomes COP28 commitment to include subnational governments
【参照ページ】STATEMENT: COP28 Presidency Unveils Agenda for UN Climate Summit
【参照ページ】COP28 President Al-Jaber sets out plans for climate talks – E3G responds
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