欧州委員会は4月26日、医薬品に関する指令と規則の双方を改正する政策を発表した。医薬品アクセス、イノベーション、薬剤耐性(AMR)の観点を強化する。今後、EU理事会及び欧州議会との協議に入る。
欧州委員会は、新型コロナウイルス・パンデミック下の2020年11月に「欧州医薬品戦略」を発表。新たな健康の脅威に対抗するとともに、EUの医薬品産業の競争力を掲げる政策を打ち出していた。改正されると20年以上ぶりの大規模改革となる。さらに、医薬品製造で、ライフサイクル全体の環境サステナビリティの観点も盛り込む。
医薬品アクセスでは、新たなインセンティブを設け、製薬企業に対し、アンメット・メディカル・ニーズに対応する医薬品を開発するよう奨励。さらに、ジェネリック医薬品やバイオシミラー医薬品の早期入手が促進され、市場承認手続きが簡素化される。医薬品開発に対する公的資金の透明性を高める措置の導入も奨励する。これにより、安全で有効かつ安価な医薬品に適時かつ公平なアクセスを確保する。
薬剤耐性(AMR)では、AMRは、EUにおける健康上の脅威のトップ3の1つ認識。耐性病原体を治療できる新規抗菌薬に投資する企業に対し、譲渡可能なバウチャーによるインセンティブを提供。現在の市場の失敗を解決しにいく。また、抗菌薬の効果を維持するため、適応する包装や処方箋の必要性等、抗菌薬の慎重な使用のための措置と目標も導入する。特に病院での高いレベルの感染予防と、人の健康の分野での管理を促進する。目標設定では、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の支援を受け、各国の状況を考慮し、実施される。
また、AMRに関する各国のワンヘルス行動計画を後押し。研究とイノベーションを促進し、AMRと抗菌薬消費のサーベイランスとモニタリングを強化。国際的な活動も積極的に提唱しにいく。
医薬品不足への対応と安定供給確保では、欧州医薬品庁(EMA)のEU加盟国当局に対する調整役としての役割を強化。さらに、製薬企業に対し、医薬品不足と撤去の早期報告、不足防止計画の策定と維持が義務化される。EU全体で重要な医薬品のリストを作成し、当該医薬品のサプライチェーンの脆弱性を評価し、企業やその他のサプライチェーン関係者が取るべき対策について具体的な勧告も行う予定。欧州委員会は、特定の重要医薬品の供給の安全性を強化するための法的拘束力のある措置の発動権限も確保しにいく。
イノベーション促進では、規制の効率化・簡素化が柱。さらにインセンティブとして、革新的な医薬品に対し、最長12年の規制上の保護と、既存の知的財産権との組み合わせにより、欧州の創薬市場環境を整備する。
環境サステナビリティについては、今後詳細を検討する。
【参照ページ】European Health Union: Commission proposes pharmaceuticals reform for more accessible, affordable and innovative medicines
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