オーストラリア電力最大手AGLエナジーは11月15日、株主総会を開催し、取締役会側が反対していた取締役候補3人が選任。石炭火力発電からの転換が進まない経営姿勢を気候変動対策に消極的と株主側が判断する結果となった。
AGLエナジーに対しては、株式11%を保有する最大株主ブルックス・ベンチャーズが、再生可能エネルギーへの転換に消極として批判の声を強めていた。ブルックス・ベンチャーズのオーナーであるマイク・キャノン=ブルックス氏は、AGLエナジーを、発電企業とカーボンニュートラル小売事業者に分割する案を提案。2021年6月にAGLエナジーは同案を進める意向を表明したが、決議に必要な株主75%の賛成が得られないと判断し断念。その責任をとり、取締役会議長、取締役2人、CEOが辞任。替わりに、ニューサウスウェールズ港とシドニー淡水化プラントの会長を務めるパトリシア・マッケンジー取締役を取締役会議長に昇格させていた。
しかし、その直後からマイク・キャノン=ブルックス氏は、パトリシア・マッケンジー取締役会議長を支持しないと表明。強力な再生可能エネルギーへの転換を進めるべきと主張し、今回の株主総会でも4人の取締役候補を独自に擁立。元オーストラリア・エネルギー安全保障委員会委員長のケリー・ショット氏、元テスラ役員のマーク・トワイデル氏、元テスラCSR本部長のクリスティン・ホルマン氏と、ジョン・ポーラーズ氏の4人を候補として提出した。そのうち取締役会は、トワイデル氏を除く3人を反対推奨していた。
結果は、取締役会側が提案した4人に加え、ブルックス氏が提案した4人の全員が賛成対数を得、これにより同社取締役数は5人から8人へと大きく増えることになった。
さらに今回の株主総会では、役員報酬承認議案に対し、反対30.69%に達した。オーストラリアの会社法では、2年連続で役員報酬に対し2年連続で反対が25%を超えた場合、株主には会社の取締役解任を決議できる権利が生じる。この点も今後ブルックス氏の移行が強く反映されることになる。
同時に今回の株主総会では、気候変動議案に関する「Say on Climate」に、同じく反対が30.69%ついた。賛成対数の支持を得たものの、今後さらに戦略変更を迫られる可能性が出てきた。
【参照ページ】AGL shareholders make history by renewing board with climate competence and ambition
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