経済産業省は2月4日、トランジション・ファイナンスに関する電力、ガス、石油分野における技術ロードマップを公表した。10月の鉄鋼分野、12月の化学分野の発表に続く第3弾。
【参考】【日本】経産省、鉄鋼の脱炭素ロードマップを提示。トランジションファイナンス向け第1弾(2021年10月31日)
【参考】【日本】経産省、化学分野でのトランジション・ファイナンス技術ロードマップ公表(2021年12月10日)
トランジション・ファイナンスでのロードマップは、経済産業省、環境省、金融庁と共同して5月に発表した「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」に基づくもの。各業界での「トランジション・ボンド/ローン」での資金調達の観点を提供している。
電力、石油、ガスについては、日本政府が2020年12月に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」、2021年10月に閣議決定した「第6次エネルギー基本計画」が前提となっている。
【参考】【日本】政府、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」採択。ほぼ全業種でロードマップ提示(2020年12月25日)
【参考】【日本】政府、第6次エネルギー基本計画を閣議決定。7月発表の素案から修正なし(2021年10月22日)
そのため、火力発電に関しては、水素専焼及びアンモニア専焼を将来像とした石炭火力発電と天然ガス火力発電の延命、ガスに関しては合成メタンやバイオメタンへの転換までの省エネ、さらにガスと原油の双方で燃料転換やCCUS(炭素回収・利用・貯留)導入までの省エネが骨格となっている。また全体として、二酸化炭素排出削減に不可欠な排出係数等の基準値はなく、あくまで技術ロードマップのみを提示したものとなっている。
水素混焼及びアンモニア混焼に関しては、すでに海外からはフィージブルではないとの指摘も上がっている。水素専焼やアンモニア専焼はさらに燃料費が嵩む。トランジション・ファイナンスは、将来技術へのつなぎとしてファイナンスするものだが、将来技術そのものがフィージブルにできるかどうかそのものが大きな課題となっている。
【参考】【日本】アンモニア混焼石炭火力とIGCC、コストとCO2削減の両面で無意味。英シンクタンク分析(2022年2月14日)
【参照ページ】脱炭素化への移行に向け、トランジション・ファイナンスに関する電力、ガス、石油分野におけるロードマップを取りまとめました
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