インデックス開発世界大手米S&Pグローバルは2月1日、2022年版「Sustainability Yearbook」を発行した。RobecoSAMは毎年世界大手企業にESGに関する調査票を送付し、回答をもとに企業のESG評価「Corporate Sustainability Assessment(CSA)」を行ってきたが、2019年に同事業はS&Pグローバルに売却。CSAは毎年、金融インデックス開発世界大手米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのDJSI(Dow Jones Sustainability Indices)のスコアとして用いられている。
【参考】【国際】S&Pグローバル、2021年版Sustainability Yearbook発行。ゴールド獲得日本企業6社(2021年2月12日)
【参考】【国際】S&Pグローバル、RobecoSAMからCSA含むESG評価事業を買収。ESGインデックス開発を完全内製化(2019年11月22日)
Sustainability Yearbookは、CSAの結果概要をまとめたもので、各業界の評価トップ15%の社名が掲載される。さらに60点以上かつ上位1%の企業には「ゴールド」、57点以上で上位5%以内の企業には「シルバー」、54点以上で上位10%以内の企業には「ブロンズ」が付与される。今年は7,500社以上が調査対象となり、Sustainability Yearbookに掲載されたのは716社。そのうち75社がゴールド、89社がシルバー、106社がブロンズを獲得した。
CSAの評価手法は、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)とともに、企業の長期的に成長するためのイノベーションや市場成長等の経済的な側面もチェックされる。詳細の設問や評価ウエイトは業界ごとに異なる。2016年からは、政治献金や業界団体寄付金等公共的団体との関わり方、社会インパクト評価の実施等に関する要素も追加された。
各業界のゴールド獲得企業
- 総合電機:シーメンス(ドイツ)
- 自動車:現代自動車(韓国)、GM(米国)
- 自動車部品:ハンコック・タイヤ(韓国)、ピレリ(イタリア)
- 航空宇宙・防衛:レオナルド(イタリア)
- 産業機械:CNHインダストリアル(イタリア)
- 民生電子機器:LG電子(韓国)
- 通信機器:シスコシステムズ(米国)
- コンピューター・周辺機器および事務用電子機器:リコー(日本)
- 電子装置・機器・部品:デルタ電子(台湾)
- 電気部品・設備:シグニファイ(オランダ)
- 半導体:ASE(台湾)、UMC(台湾)
- 化学:PTTグローバル・ケミカル(タイ)
- エネルギー設備・サービス:Saipem(イタリア)
- 石油・ガス採掘:エスオイル(韓国)
- 石油・ガス貯蔵・輸送:ウィリアムズ(米国)
- 石油・ガス精製・販売:ガルプ・エナージア(ポルトガル)
- 石炭・消耗燃料:バンプー(タイ)
- 建設関連製品:オーウェンス・コーニング(米国)
- 鉄鋼:現代製鉄(韓国)、フォーテスキュー・メタルズ・グループ(オーストラリア)、ポスコ(韓国)
- 金属鉱業:ニューモント・マイニング(米国)、Teck Resources(カナダ)
- アルミニウム:ヒンダルコ・インダストリーズ(インド)
- 建設資材:Grupo Argos(コロンビア)、Cementos Argos(コロンビア)
- 医薬品:グラクソ・スミスクライン(英国)
- バイオ:バイオジェン(米国)
- 医療機器・用品:アボット・ラボラトリーズ(米国)
- 消費財:ユニリーバ(イギリス)
- 家庭用品:コルゲート・パーモリーブ(米国)、レキットベンキーザー(英国)
- 家庭用耐久財:アルチェリッキ(トルコ)
- 食品:Grupo Nutresa(コロンビア)、タイ・ユニオン(タイ)
- 飲料:タイ・ビバレッジ(タイ)
- たばこ:ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(英国)
- アパレル:モンクレール(フランス)
- 紙・木材:UPMキュンメネ(フィンランド)
- 容器・包装:クラビン(ブラジル)、ボール(米国)
- 商社:伊藤忠商事(日本)
- 住宅:住友林業(日本)
- 建設・土木:現代建設(韓国)
- 不動産:Dexus(オーストラリア)
- 専門サービス:ビューローベリタス(フランス)
- 商業用品・サービス:ウェイスト・マネジメント(米国)
- 金融サービス・資本市場:ユアンタ・ファイナンシャル・ホールティング(台湾)
- 銀行:KB金融グループ(韓国)、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)(スペイン)、カシコン銀行(タイ)
- 保険:アリアンツ(ドイツ)
- ソフトウェア:SAP(ドイツ)
- ITサービス・インターネット:インドラ・システマス(スペイン)、テックマヒンドラ(インド)
- 通信サービス:トゥルー・コーポレーション(タイ)
- 電力:ポルトガル電力公社(ポルトガル)、アクシオナ(スペイン)
- ガス供給:イタルガス(イタリア)
- 公益事業・水道:ヘラ(イタリア)
- メディア:インフォーマ(英国)
- 交通および交通インフラ:BTSグループ(タイ)
- 航空輸送:ANAホールディングス(日本)
- 小売:ロジャス・レナー(ブラジル)
- 食品・生活必需品小売:CP・オール(タイ)
- 飲食・レジャー:ソデクソ(フランス)、ヤム・チャイナ・ホールディングス(中国)
- ホテル・リゾート・クルーズ:ヒルトン・ワールドワイド(米国)
- カジノ・ゲーム:Tabcorp Holdings(オーストラリア)
- 医療サービス:シグナ(米国)、CVSヘルス(米国)
- 医療機器・サービス:イルミナ(米国)
国別数では、米国が14社で首位。2位は韓国とタイの8社、次いで英国とイタリアの6社、日本と台湾の4社と続く。日本は前年の6社から減退した。
シルバー獲得の日本企業
- 本田技研工業
- 資生堂
- 中外製薬
- 積水化学
- 積水ハウス
- オムロン
- 野村総合研究所
ブロンズ獲得の日本企業
- LIXILグループ
- 花王
- 小野薬品工業
- ニコン
- 三井物産
- 双日
- コニカミノルタ
- 日本たばこ産業(JT)
- NTTデータ
- NEC
また、前年の調査から大きく改善し業界内上位15%に入った企業には「Industry Mover」のタイトルが付与された。
【参照ページ】The Sustainability Yearbook - 2022 Rankings
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