米農業・畜産業の業界団体U.S. Farmers & Ranchers in Action(USFRA)と国際サステナビリティ推進NGO持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)は2月9日、リジェネラティブ農業を代表とする気候スマート農業へ米国農業を転換するための投資の在り方を示した新たなレポートを発表した。Mixing BowlとCroatan Instituteもレポート作成に参画した。
USFRAは、2010年に全米の食糧関連業界団体が加盟する機関として2010年に設立されたU.S. Farmers and Ranchers Allianceが前身。大企業から中小企業まで幅広い食糧バリューチェーン上の企業が加盟しており、食糧の持続可能性を掲げ、数々の提言を行ってきている。
今回のレポートでは、2025年までに米国の二酸化炭素排出量のうち農業が占める割合を、9.9%から3.8%に大幅に削減するための道筋を示した。さらに2035年までに、今回提示した農業への転換することで、米国農業はカーボンネガティブを実現でき、年間で4%分のネット吸収を実現できるとした。
同レポートで提示した農業は、輪作、被覆作物の植付け、耕作の削減、作物と家畜のシステムの統合等。リジェネラティブ農業へ転換することで、土壌の健康を改善し、炭素を大気中から隔離し、侵食の減少、水浸透の増加も実現できる。
同レポートでは、リジェネラティブ農業への転換に資するテクノロジーやビジネスモデル等の一覧マップも掲載。デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用したリジェネラティブ農業を実現していく方向性を大きく掲げた。
また投資拡大の提言として、土壌の健康状態を測定する市場型ソリューションへの投資、国の土壌の炭素固定量に関する参照データベースへの投資、農場マネジメントソフトウェアの導入を加速することへの投資、企業のノウハウを活用しスケールできる協働を加速するための投資等を掲げた。
今回のレポートは、ユナイテッド大豆委員会とウェルズ・ファーゴが拠出。USFRAとWBCSDは2020年9月にも、米国のフード・バリューチェーン全体における国連持続可能な開発目標(SDGs)ロードマップ・ガイドラインをまとめたレポートを発表しているが、その際もレポート作成資金はユナイテッド大豆委員会が拠出していた。
[2021.5.18]
一部修正した。
【参照ページ】U.S. Farmers and Ranchers in Action mobilizes tech and finance sectors to fulfill agriculture’s potential as a climate solution
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