欧州委員会は10月26日、コーポレートガバナンスでのサステナビリティ観点責務を強化する「サステナブル・コーポレートガバナンス」に関するパブリックコメントの募集を開始した。幅広いステークホルダーから意見を募り、2021年に政策の方向性を固める材料とする。
今回の政策は、国連持続可能な開発目標(SDGs)、2019年採択の欧州グリーンディール戦略、2020年採択の「公正な転換のための強い社会的欧州戦略」の一環。特に、目下進めているEU非財務財務情報開示指令(NFRD)改正では、情報開示を強化する規制が検討されているが、ガバナンスを伴わない開示では「グリーンウォッシュ」等の可能性を伴うとし、同時にコーポレートガバナンスについても規制を強化することを検討するもの。
今回のパブリックコメントでは、自社とサプライチェーンの双方において、気候変動、その他環境分野、人権に関するデューデリジェンスを、善管注意義務の一つとして取締役に課すことが主要な内容としている。特に人権では、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)と経済協力開発機構(OECD)多国籍企業行動指針の2つに準拠するよう法設計する考え。
そのため、パブリックコメントの設問では、取締役が考慮責任を負うステークホルダーの範囲や、デューデリジェンス義務を企業及び取締役に追わせた場合のビジネス上の懸念、デューデリジェンス義務の具体的な適用内容について意見を聞いた。さらに、ショートターミズム(短期思考主義)を防ぐため、純利益のうち配当に回すことができる金額を制限する規制の必要性についても意見を募集した。
パブリックコメントの募集締切は、2021年2月8日まで。その後、欧州委員会はあるべき規制を検討していく。
【参照ページ】Sustainable corporate governance
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