サステナビリティレポーティングガイドライン世界最大手のGRI(Global Reporting Initiative)は10月19日、現行のG4に変わる新たなガイドライン「GRI Standards(GRIスタンダード)」の完成版を発表した。
【参考】GRI、「GRIスタンダード」の原案が最終承認。10月に発行予定(2016年9月19日)
【参考】GSSB、「GRIスタンダード」パブコメの総評発表。概ね肯定的な評価(2016年8月16日)
【参考】GRI、新版「GRIスタンダード」の第二弾草案発表。7月17日までパブコメ受付(2016年6月13日)
【参考】GRI、新版「GRIスタンダード」の草案発表。7月中旬までパブコメ受付(2016年4月21日)
当サイトでも繰り返し伝えてきたが、新たな「GRIスタンダード」の内容は現行のG4を基にしているものの、ガイドラインとしての体裁が異なる。これまでは1冊または2冊に内容がまとめられてきたが、今回は「モジュール化」という方式を採用し、分野ごとにドキュメントを分割、3冊の共通スタンダードと33冊の項目別のスタンダードの合計36冊で構成されている。G4からGRIスタンダードへの参照切り替え期限は2018年7月1日まで。CSR報告書や統合報告書でGRIを参照する企業は、同日以降の報告書発行時には、今回発表されたGRIスタンダードを参照しなければならなくなる。
実務者がまず最初に読むべき文書は、GRI100シリーズの共通スタンダードに関する3つの文書。とりわけ「GRI101 Foundation 2016」には、GRIスタンダードを参照するための基本的な要求事項が書かれており、G4で初めて導入された「マテリアリティ」についてもこの文書に規定されている。GRIスタンダードを参照する全ての機関は、このGRI100シリーズの3つの文書を全て参照しなければならない。一方、項目別のスタンダードであるGRI200シリーズの経済スタンダード、GRI300シリーズの環境スタンダード、GRI400シリーズの社会スタンダードは、「マテリアリティ」を特定した上で関係がある分野文書だけを選んで参照すれば良く、全てを参照する必要はない。項目別のスタンダードの各文書は、情報開示必須基準である「Requirements」、推奨事項である「Recommendations」、解説文である「Guidance」の3パート構成となっている。
GRIスタンダードの全文書は、GRIのウェブサイトより無料でダウンロードが可能。GRIスタンダードの説明ウェビナーも、日本時間の10月26日16:00(オランダ時間9:00)と22:30(オランダ時間15:30)に開催される。ウェビナーの参加にはGRIのウェブサイトより事前登録が必要だ。
GRI100 共通スタンダード(Universal Standards)
- GRI101 Foundation 2016:GRIの基本的な報告原則
- GRI102 General Disclosures 2016:報告機関の組織概要とガバナンス報告基準
- GRI103 Management Approach 2016:マネジメントアプローチの情報開示基準
項目別のスタンダード(Topic-Specific Standards)
<GRI200 経済スタンダード(Economic Standards)>
- GRI201 Economic Performance 2016(経済的パフォーマンス)
- GRI202 Market presence 2016(市場での存在感)
- GRI203 Indirect economic impacts 2016(間接的な経済影響)
- GRI204 Procurement practices2016(調達慣行)
- GRI205 Anti-corruption 2016(腐敗防止)
- GRI206 Anti-competitive behavior 2016(反競争的行為)
<GRI300 環境スタンダード(Environmental Standards)>
- GRI301 Materials 2016(原材料)
- GRI302 Energy 2016(エネルギー)
- GRI303 Water 2016(水)
- GRI304 Biodiversity 2016(生物多様性)
- GRI305 Emissions 2016(大気への排出)
- GRI306 Effluents and waste 2016(排水および廃棄物)
- GRI307 Environmental compliance 2016(環境コンプライアンス)
- GRI308 Supplier environmental assessment 2016(サプライヤーの環境評価)
<GRI400 社会スタンダード(Social Standards)>
- GRI401 Employment 2016(雇用)
- GRI402 Labor/management relations 2016(労使関係)
- GRI403 Occupational health and safety 2016(労働安全衛生)
- GRI404 Training and education 2016(研修および教育)
- GRI405 Diversity and equal opportunity 2016(多様性と機会均等)
- GRI406 Non-discrimination 2016(非差別)
- GRI407 Freedom of association and collective bargaining 2016(結社の自由と団体交渉)
- GRI408 Child labor 2016(児童労働)
- GRI409 Forced or compulsory labor 2016(強制労働)
- GRI410 Security practices 2016(保安慣行)
- GRI411 Rights of indigenous peoples 2016(先住民の権利)
- GRI412 Human rights assessment 2016(人権評価)
- GRI413 Local communities 2016(地域コミュニティ)
- GRI414 Supplier social assessment 2016(サプライヤーの社会評価)
- GRI415 Public Policy 2016(公共政策)
- GRI416 Customer health safety 2016(顧客の安全衛生)
- GRI417 Marketing and labeling 2016(マーケティングとラベリング)
- GRI418 Customer privacy 2016(顧客プライバシー)
- GRI419 Socioeconomic compliance 2016(社会経済コンプライアンス)
(注)2017年4月19日 日本語版文書発行に伴い文言変更
【参照ページ】First Global Sustainability Reporting Standards Set to Transform Business
【文書】GETTING STARTED WITH THE GRI STANDARDS
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら