インドの新・再生可能エネルギー省(MNRE)が今年8月5日に発表した風力発電設備リパワーリング政策が、インドの風力発電に大きな拍車がかかると高く評価されている。リパワーリング(Repowering)とは、古くなった風力発電タービンの建替えを行い、風力発電力の増強や発電効率の向上させることを言う。
新・再生可能エネルギー省が発表した新政策は、発電設備容量1MW以下の風力タービンのリパワーリングを支援する。まず、リパワーリングのための設備投資にかかる利子に対し、インド再生可能エネルギー開発公社(IREDA)が0.25%分の補助金を支給する。従来は、新設の風力発電所のみ金利分を全額再生可能エネルギー開発庁が負担するという政策があったが、今回は金利支援の対象をリパワーリングにまで拡大した。また、リパワーリングに対しても前倒し減価償却を認め、発電量増加分に対しても補助金を支援する。リパワーリング後は、リパワーリングまでの3年間平均の発電量を当初の固定買取価格(FIT)で州電力公社(State Discoms)に売電できることが担保される。また、リパワーリングによって増加した発電分は、州電力公社にリパワーリング時の固定買取価格(FIT)で州電力公社に売電するか、オープンアクセスコンシューマ方式(1MW以上の発電所は電力事業者への売電以外に第三者の電力需要者に売電することが認められている)で第三者に売電するかを選択できる。
新政策はリパワーリング期間中の措置に対しても手当する。これまで風力発電のリパワーリングは、リパワーリングの期間に発電ができなくなることから、すでに電力事業者との間で締結している電力購入契約(PPA)が履行できなくなることが壁になっていた。今回の新政策では、リパワーリング期間は、風力発電事業者はPPAの契約義務が一時的に免除されることを制度化し、さらに自家用発電のために風力発電を行っている場合は、リパワーリング期間中、政府が定める優遇価格で電力事業者から電力を購入できるようにする。
インド風力タービン製造業協会(IWTMA)によると、2000年までにインドで建造された風力発電機の多くは、発電容量500kwという中型のものが大半。この中型風力発電機で約3GWの発電を、また1MW未満では約10GWの発電を、今日行っており、これらを1MW以上の大型風力発電機に建て替えれば大きな発電量の増加が見込める。インドでは、運用メンテナンス(O&M)費用が高くなるのを避ける傾向が強く、新規風力発電機の平均設備容量が1MWを超えたのは2011年から2012にかけて。一方、風力発電先進国のEUや米国では2003年までに、中国でも2007年に平均1MW超えをしている。インド政府は2022年までに風力発電容量を60GWにする目標を掲げており、今回の政策は大きな躍進に繋がるとIWTMAも高く評価している。
【参照ページ】IWTMA’s take on the new regulations on repowering policy
【参照ページ】Repowering India’s wind sector
【新政策】Policy for Repowering of the Wind Power Projects
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