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【イギリス】前キャメロン政権、2032年までにCO2の57%削減を決定。世界一高い目標

UK

 英国政府は6月30日、2032年までに二酸化炭素排出量を1990年比で57%削減するという目標を発表した。この発表は、6月23日のEU離脱国民投票のあとに前キャメロン政権が発表したもの。英国では、炭素排出量削減の長期目標を5年に一度定めることを「気候変動法」で定められている。今年度の炭素予算設定は5期目にあたり、2028年から2032年の5年間での達成ゴールを定めることなっていた。同法では、最終目標として2050年までに1990年比80%の削減を掲げており、この5年に一度の「炭素予算」はそれに向けてのマイルストーンを設定するという性格を有している。また同法の規定では、今年6月末までに今回の炭素予算を英国上院(貴族院)と下院(庶民院)で可決させることを定めているものの、政府はこの期限の遵守は不可能だとしつつも、予算成立は近々なされるという見解を示した。

 過去4期までの長期目標では、1期目2008年から2012年で23%削減、2期目2013年から2017年で29%削減、3期目2018年から2022年で2020年までに35%削減、4期目2023年から2027年で2025年までに50%削減としてきた。政府の諮問機関である気候変動委員会の最新の報告書によると、気候変動法の最終目標である2050年までの80%削減は達成可能なペースだという。しかしながら、今回2032年までに57%削減を定めたことについては、さらなる政策の変更がない限り、目標達成は困難であるとの意見も添えた。

 今回の発表を受けて、EU離脱国民投票後の政治的混乱に危惧していた環境保護活動家らは安堵の声をあげているものの、今回の決定がメイ新政権にも確実に引き継がれるか、EU離脱交渉後にも継続されるのかなどを懸念する声は大きい。メイ政権は先週、エネルギー・気候変動省を廃し、経済官庁と統合させ「ビジネス・エネルギー・産業戦略省」を新設することを発表しており、気候変動分野の政策が後退するのではないかとの懸念も起きている。英国の気候変動に関する目標はこれまでも世界トップクラスであったため、再生可能エネルギーや電気自動車に対する大規模な企業投資がなされてきているため、産業界も今後の動向を敏感に見守っている。気候変動委員会は、今回の目標の達成向けては、住宅セクター以外にも、農業や輸送交通など二酸化炭素排出量が増えつつあるセクターにおいて新たなアプローチが必要だとしている。メイ政権の気候変動に対する政策の方向性は、キャメロン政権が最後の最後で駆け込みで決定した、この「炭素予算」がどう変更されるかによって明らかになると言っても過言ではない。

【参照ページ】Climate change: UK backs world-leading climate target

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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