イタリアを代表するラグジュアリーブランド「PRADA」を展開するプラダ・グループ(以下、プラダ)は12月14日、同社のCSRについてまとめたブランドサイト、csr.pradagroup.comを公表した。同サイトではプラダのCSRコミットメントやCarlo Mazzi会長のメッセージ、CSR報告書、同社の活動をまとめたインフォグラフィックといった一般的なコンテンツに加えて、同社のブランドの根幹にある創造性や人々への尊厳、環境への配慮といった価値観を職人の技巧や芸術遺産の復元など様々なストーリーを通じて表現している。
プラダの取締役会長を務めるCarlo Mazzi氏は「美しさ、創造性、そして最高の品質は常にプラダ・グループの原則であり続けてきた。また、この原則の根底にあるのは、自然と人間だ。環境と個人に対する尊敬の念は常に我々の行動の土台にあり、社内と取引先、顧客、サプライヤー、他機関といった社外の双方との関係にあてはまる」と語った。
プラダはCSRを「自社の視点を広げ、事業がもたらす影響や、自社の行動がコミュニティとのより良好な関係の構築に貢献できるということを認識すること」と定義している。また、今回のCSRサイト公開はプラダの価値観や実践をバリューチェーン全体に沿ってステークホルダー全体に広める上で非常に重要であり、協働して共通の目標を目指すことに対する固い誓約を示しているとしている。
最近ではCSRコミュニケーションにストーリーテリングを用いる事例が増えてきているが、プラダのCSRサイトもその好事例の一つだ。ブランドの世界観を大事にしながら自社の伝統的な職人ノウハウや工場、文化活動といったブランドの内側をストーリー形式で表現することで、単なるCSR報告以上のコミュニケーションを実現している。
ファッションの世界ではラグジュアリー、ファストファッション、エシカルファッションへの変遷という形でCSRトレンドが語られることが多いが、プラダやティファニーのようにCSRをブランドの価値観として重視しているラグジュアリーブランドもあれば、H&MやGAPのようにサステナビリティを事業戦略の核に据えたファストファッションブランドもある。価格帯や嗜好に関わらず、ブランドがいかに消費者だけではなく社会や環境にとっても良い価値をもたらしているかを示すことは、もはや業界の新たなスタンダードとなりつつある。
【参考サイト】Prada Group | Corporate Social Responsibility
【参照リリース】A New Perspective on the Prada Group
【企業サイト】Prada Group
(※写真提供:Radu Bercan / Shutterstock.com)
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