スペインのアパレルメーカー大手インディテックスが、商品の衣類にQRコードをインストールする実験的試みをブラジルで開始すると9月1日報じられた。このコードにより、顧客は商品の製造過程等多くの情報を瞬時に得ることができる。目的は、インディテックスが傘下のブランドZARA製品の生産拠点ブラジルで奴隷的労働を強いているという悪評を払拭することにある。このプロジェクトは翌週からブラジルで実行される見込みである。
同社の「奴隷労働」問題は2011年に顕在化。一旦は労働者との間で和解が成立したものの、2012年以降、未だ7,000名以上の労働者にとって過酷な労働の実態が続いていることが判明し同社は非難された。ブラジル政府は同社をDirty list(奴隷労働をさせていると摘発された業者の一覧)にリストアップし厳重な監視を続けている。またサンパウロの裁判所は14年4月、同社に有罪判決を下し、罰金と従業員への賃金の支払を命じた。裁判は現在上訴中である。
企業のマイナスイメージを解消するため、14年5月、透明性とトレーサビリティをテーマに発表されたのが'Manufactured in Brazil'('Fabricado no Brasil')である。製品に装着したQRコードにより、製造工程の詳細の他、一連のコンプライアンスについても明示する予定である。またラベルを通したメール機能により、顧客はブラジル支社のCSR部門に直接質問やコメントを送信することもできる。このようにしてインディテックスは、製品がブラジルの労働法やインディテックスの社内規律に基づき正当に製造されていることを顧客に保証するという。
今回の取組の背景には、2013年にバングラデシュ・ダッカで発生した商業ビル「ラナ・プラザ」崩落事故が関係している。この事故で同社も大きく批判され、労働環境改善は同社にとって優先的な経営事項と設定された。2015年末までに、QRコードはブラジルで生産された全製品に貼付され、その後は他の国々へも展開する予定である。この計画によってインディテックスは、労働問題で同社に非難の矛先を向けている現地政府や社会の納得と理解を得ることを目指す。
【参照リリース】Inditex cose un código QR a las prendas para salir de la lista sucia laboral
【団体サイト】Inditex
【参考サイト】Zara owner Inditex faces fines in Brazil over poor working conditions claim
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