食品大手のネスレが、水不足が深刻化している米国カルフォルニア州で革新的な技術への投資を進めている。カルフォルニア州にあるネスレの5つのボトリング工場および4つの施設おいて水の使用量を削減するのが目的だ。
昨年、ネスレはメキシコにて同社初となる「水ゼロ」工場をオープンした。そこで活用されているのが、工場で使用する全ての水を、乳製品に使用されるミルクから抽出するという技術だ。
現在ネスレはカルフォルニア州モデストにある同社の工場においてこの水ゼロ技術の転用を進めており、工場設備が整えば、同工場は地元の淡水を一切使用せず操業することが可能となる。ネスレによると、同プロジェクトにより2014年の全取水量の71%に匹敵する毎年約6300万ガロン(238,000㎥)もの水が節約できるようになるとのことだ。同プロジェクトには約700万米ドルが投資され、2016年末までにプロジェクト完了予定だという。
カルフォルニア州のベーカーズフィールドとトゥーレアリにある米国ネスレの工場では既に毎年2600万ガロン以上の節水を実現しており、工場で年間取水量を2014年比で12%削減見込みだという。また、ネスレは今年計画している投資によるカリフォルニア州にある同社ボトリング工場における水使用削減量は年間で約5500万ガロンに達すると見込んでおり、2014年比で約8%の削減に繋がるとしている。
同社は工場の水使用量削減に向けて、段階的なアプローチを採用している。初期段階ではエンジニアらは水使用プロセス最適化の方法を模索し、第二段階では真空システムにおける冷却水など水の再利用が可能な工程を探す。そして最終段階では、水ゼロ工場のように、原材料から水を抽出してそれを再利用するという革新的な方法を取り入れるという。
また、同社は水使用量削減にあたり"Water Target Setting"という方法論を採用している。これは水使用量削減の機会を特定するだけではなく、それを実行する際の最も適した技術も同時に特定するというものだ。この方法論は世界80か国の工場で既に採用されており、各地で10~30%の水使用量削減につながっているとのことだ。
ネスレは既に過去10年間で、グローバル全体における総取水量を約3分の1削減することに成功しているが、同社は更なる削減に向けた目標を掲げており、2015年は2005年と比較して製品1トンあたりの取水量を40%削減することを目指している。現在もネスレの世界中の工場では376もの節水プロジェクトが進行している。
乳製品のミルクから水を抽出するという革新的な技術開発に取り組むネスレ。同社の取り組みはサステナビリティ課題をイノベーション機会に変えている優れた事例だと言える。
【参照リリース】Nestlé to Transform Milk Factory to ‘Zero Water’ in California
【企業サイト】Nestlé
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