国際自然資本ファイナンス促進団体NatureFinance(旧F4B;生物多様性のためのファイナンス・イニシアチブ)が運営するイニシアチブ「自然市場タスクフォース」は8月10日、政府、企業、金融機関、NGO向けに、自然市場を機能させるための提言報告書を発表した。今後、国際的に枠組みに発展していく可能性がある。
NatureFinanceの前身の「生物多様性のためのファイナンス・イニシアチブ(F4B)」は、2019年に発足。環境活動家ルーク・ホフマン氏が設立したスイスのMAVA財団が活動を支援してきたが、ホフマン氏が2016年に死去し、同財団も2023年中に解散することが決まっている。F4Bは、金融市場で生物多様性をマテリアルにすることを目的とし、活動を展開。類似の団体に金融機関が加盟団体となる「生物多様性のためのファイナンス財団(FfB)」があるが別団体。その関係もあってか、NatureFinanceにイニシアチブ名を変更していた。
NatureFinanceは2022年、「自然市場タスクフォース」を組成。外部有識者を招集し、提言報告書を発行してきている。今回、活動の集大成となる最終報告書をまとめた。
【参考】【国際】UNEP FIとFfB、生物多様性ファイナンス目標設定で協働。F4Bは行動フレームワークも発行(2022年4月9日)
自然市場タスクフォースが今回の提示した提言は7つ。
- 公平でグローバルな自然経済への経済・金融アーキテクチャの整合:金融・通貨政策と規制、さらに貿易・投資ルールを、公平でグローバルな自然経済を推進するという必須条件と整合させる。
- 中央銀行と金融監督当局の政策調整:中央銀行に対し、金融関係者、市場、システムによる行動が、自然や気候に関する政府や国際的な政策公約と整合していることを確保するよう求める。
- 政府財政を公平でグローバルな自然経済のニーズと整合させる:政府部門の財政管理を、生物多様性世界フレームワークで具体化された国際的な自然に関する公約と整合させる。
- 食料コモディティ市場に説明責任を持たせる:政策立案者と規制当局に、食料の世界貿易を促進する世界最大かつ最も影響力のある自然市場である食料コモディティ市場を対象に、完全なトレーサビリティと影響に関する透明性の強化を義務付けるよう求める。
- 自然のスチュワードのための改善された経済的便益の確保:自然が豊かな主権国家、先住民族、地域社会からなる連合体を創設し、合意された価格で、完全性の高い自然サービスを提供する。
- 自然犯罪の有害な影響に対処する:投資家や資金提供者に対し、自然犯罪のないバリューチェーンを実証する要件を設けることにより、違法な資金フローの第3の原因である自然犯罪の発生率と影響を低減する。
- 自然の状態の測定方法を統一する:自然状態全体を測定するための世界的な合意形成を行い、グリーンウォッシュを避けるためにデータを公開する。
今回の提言報告書は、特に、2024年G20議長国、そして2025年に開催される国連気候変動枠組条約第30回アマゾン締約国会議(COP30)議長国であるブラジル政府が名宛人となっている。ブラジルに国際的な合意形成のリーダーシップを発揮するよう求めた。
【参照ページ】Nature Markets Taskforce sets out landmark recommendations at Amazon Summit for a fairer nature economy
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