総合電機世界大手米GEは、カーボンニュートラル型の事業転換を加速させてきている。4月21日には、高電圧機器向けの六フッ化硫黄(SF6)ガスの代替ガス活用で、日立ABBパワーグリッドとの間でクロスライセンス契約を締結。インドでは大規模風力発電所での風力発電機の大量受注を決めた。
SF6は、50年ほど前から高圧の送配電インフラにおいて、ガス絶縁開閉装置で一般的に使用されてきた。しかしSF6は、温室効果ガスの一つでもあり、漏出したり、誤って放出されてしまった場合の温暖化リスクがあった。そこで、GEの送配電事業子会社GEのグリッドソリューションと、日立ABBパワーグリッドは、非独占的なクロスライセンス契約を締結し、SF6フリーの高電圧機器のラインナップを拡大することで合意した。
SF6フリーの代替ガスとしては、フルオロニトリルと二酸化炭素の混合ガスが最も有力で、欧州委員会も2020年9月にSF6フリーの代替ガスは、フルオロニトリルと二酸化炭素の混合ガスがおそらく唯一の選択肢となると結論づけている。フルオロニトリルと二酸化炭素の混合ガスは3Mや、日本では日新電機等が生産を開始している。
また、インドでは、GEリニューアブル・エナジーが陸上風力発電所の新設で、2.7MW型を42基導入することを決定した。同発電所は、太陽光発電CleanMaxと連携し、風力と太陽光で合計で110MWの発電所を建設し、カルナータカ州やグジャラート州に給電する。供給する発電機は、バンガロールのGE技術センターで設計し、風力ブレードはバンガロールとヴァドーダラーの工場で建設し、全体はプーネの組立工場で製造しており、インドでの雇用創出にも貢献している。
GEは日本でも洋上風力市場向けの風力発電機の提供を狙っている。このほど、12MW型の大型発電機でIEC(国際電気標準会議)が2019年に新設した「クラスT」認証を取得し、最大風速57mの台風や乱気流にも耐えられる性能を確保した。日本で昨今確認されている巨大台風でも最大風速は40m未満であり、57mの耐性は大きな信頼性を誇る。GEは、風向に合わせて風車の向きを自動制御することで、風圧を下げる構造を採用した。今後、日本で展開される洋上風力発電所新設向けでも売り込む。
【参照ページ】GE and Hitachi ABB Power Grids sign landmark agreement to reduce environmental impact in the electrical transmission industry
【参照ページ】GE Renewable Energy to supply 42 onshore wind turbines totaling 110 MW for CleanMax Wind Hybrid Projects in India
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