電子機器世界大手米HPは4月20日、2040年までにバリューチェーン全体のでの二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)等を含めた包括的な気候変動戦略を発表した。同社は2017年に、2025年までの気候変動目標を発表。今回それを拡充し、さらに大規模な戦略に仕上げてきた。
【参考】【アメリカ】HP、サプライヤーのCO2削減とスキル開発で目標設定。ハイチでのプラスチックゴミも再利用(2017年7月4日)
【参考】【アメリカ】HP、持続可能なプリンティング・ビジョン発表。森林破壊、気候変動、サーキュラーエコノミー(2019年3月24日)
今回設定した目標は大きく6つ。
- 2040年までにバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル。事務用品サプライ事業では2030年までにカーボンニュートラル
- 2030年までにバリューチェーン全体での二酸化炭素排出量を2019年比50%削減
- 2025年までにHPの自社事業でカーボンニュートラルと廃棄物ゼロ
- 2030年までに製品とパッケージでサーキュラーエコノミー率を75%
- HPの用紙や紙パッケージでの森林破壊ゼロを維持
- 2030年までにHP以外の用紙や紙パッケージの森林破壊に対抗
HPは今回、二酸化炭素排出量を削減しながら事業成長を実現する「デカップリング」を加速させると表明。そのためにビジネスモデルも転換していく。まず、ハードウェアではなく、サービス提供型の「PaaS」への転換を進める。具体的には、実証プログラム「HP Instant Ink with Planet Partners」を2021年5月からドイツを皮切りに始動。サブスクリプション型で期間定額でインクカートリッジを提供し、使い終わったらカートリッジを回収し、リサイクルして再び製品化する。
また、認証を取得した再生素材の活用を増やす。2030年までに重量あたりの製品及び製品パッケージの再生素材かつ再生可能な資源の含有率を75%にまで拡大する目標も定めた。サプライヤーに対しても、再生可能エネルギーの活用、地上交通の活用、代替燃料の活用、電気自動車(EV)での輸送等を促す。
さらに、製品の省エネ性能をさらに高め、植林や森林再生にも投資する。同社はすでに2020年に自社ブランドの用紙と紙パッケージの99%で森林破壊ゼロを確認し、残り1%でも同社の「持続可能な紙・木材ポリシー」の遵守を確認済み。2030年までには自社ブランド以外の用紙や紙パッケージに対しても森林破壊ゼロのアクションを進めていく。具体的には「サステナブル・フォレスツ・コラボラティブ」を同社が設立し、サプライチェーン企業を招待。業界全体での森林破壊ゼロの輪を広げている。森林保護では、今後も世界自然保護基金(WWF)やArbor Day Foundation等のNGOとの連携も活かしながら、自然を基にしたソリューション(NbS)型の二酸化炭素吸収も進める。
同社は、海洋環境NGOのオーシャン・コンサーバンシーが発足したイニシアチブ「Trash Free Seas Alliance」のステアリングコミッティ・メンバーとして参画。同イニシアチブは、海洋プラスチックを回収し再生素材として活用するプログラム「ASPPIRe」を昨今開始し、他には、ペプシコ、スターバックス、ダウ、キンバリークラークが参画している。
【参照ページ】HP Inc. Announces Ambitious Climate Action Goals
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