経済産業省は3月31日、中小企業のAI導入の促進を目的に「中小企業向けAI導入ガイドブック」と「中小企業と外部AI人材との協働事例集」を発表。導入の参考となる事例を提示することで、導入を広げたい考え。
同省は2020年3月、前年度に実施した「戦略的基盤技術高度化・連携支援事業」の最終報告書を発表。人手不足が今後深刻化する日本で、中小企業におけるAIを導入している中小企業は3%未満に現状とどまることが判明。その構造的な原因として、AI導入の効果や経緯を等身大で語れる信頼の置ける相談相手が不足している上、導入をやり遂げるために横から学び合う仕組みが不足。さらに、企業が負担可能な初期費用が50万円以下と回答した一方、実際にソリューション提供企業にかかる開発・導入費が数千万円単位となり、圧倒的な費用ギャップが存在していることがわかった。
同報告書では、約75%の企業が外部とのデータ共有への抵抗があると回答。社内開発でも、6割の中小企業には高度なITスキルを持つ人材が不在。既存ツール導入も、半数以上の中小企業にはAIの正しい理解と業務知識を基に変革推進する人材が不在。かなり厳しい現実が見えてきた。
今回発行した「中小企業向けAI導入ガイドブック」は、実際に企業がAIを導入する過程を、小売業・卸売業での需要予測と、製造業での検品工程の外観検査の2つに絞ってまとめた。
また、「中小企業と外部AI人材との協働事例集」は、東京都、静岡県、大阪府、岡山県の中小企業6社と、社外のAI人材4人から5人で構成されたチームが、オンラインで協働して課題を解決するプロジェクトを実施した結果を「協働事例集」としてまとめた。
経済産業省は、2020年度に「AI人材連携による中小企業課題解決促進事業」を実施。課題解決型AI人材育成「AI Quest」をボストンコンサルティンググループ(BCG)が受託して実施している。同プログラムは、Python/R等のプログラミングを用いてデータ解析・モデル構築ができる人を対象とし、732人が参加した。中小企業と外部AI人材との協働事業も含め、年度予算は15億円だった。
しかし、構造的な問題になっている、費用ギャップやデータ共有の抵抗感、専門人材不足に関しては、打ち手がみえてこない。
【参照ページ】中小企業向けの「AI導入ガイドブック」と「外部AI人材との協働事例集」を取りまとめました
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