再保険世界大手英ロイズ・オブ・ロンドンは12月16日、投資運用と保険引受の両面での石炭ダイベストメントを発表した。またダイバーシティに関するアクションも表明した。
今回のコミットメントでは、まず、石炭火力発電及び一般炭(石炭)採掘、オイルサンド関連分野への投資、また北極圏での一切の新規資源開発への投資を2022年1月から禁止。さらに石炭火力発電、一般炭採掘、オイルサンド、北極圏資源開発の売上が全体の30%以上の企業への既存投資についても、2025年までに段階的にゼロにする。
加えて、同じく石炭火力発電、一般炭採掘、オイルサンド、北極圏資源開発の各プロジェクトと、同分野が売上の30%以上を占める企業への保険提供も2022年1月から禁止。またすでに提供している保険の引受継続についても2030年1月までに禁止する。その間は、同条件を未満になるよう、保険提供先の企業に事業転換をするよう伝えていく。
国際環境NGOの集団的キャンペーン「Insure Our Future」ロイズによると、ロイズ・オブ・ロンドンの再保険市場は2018年に、世界のエネルギー保険料総額の約40%を占めていたと推定されるという。再保険大手のロイズ・オブ・ロンドンが同分野の保険引受を停止することは、世界中の保険会社にとって大きな影響力を持つことになる。
【参考】【イギリス】環境NGO14団体、ロイズ・オブ・ロンドンに石炭・タールサンドへの損保引受制限要求(2020年9月21日)
一方、新たな事業の創造では、同社が再保険を引き受けている全ての保険会社に対し、イノベーティブでサステナブルな保険製品からの保険収入を2022年までに全体の保険収入の2%以上にするよう推奨。そのためのガイダンスも提供していく。同社としても、2021年に新たな「リスクセンター」を設立し、気候変動リスク等のシステミックリスクから社会を守るための保険商品の研究開発を進める。
他にも同社は、2022年までに同社の中核ファンドである「セントラル・ファンド」の運用額5%を2022年までにインパクト投資にアロケートする目標を設定。さらに2025年までに自社での二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を実現するためのロードマップも策定・公表していく。
別途、ダイバーシティに関する目標も設定した。ロイズ・オブ・ロンドンの保険組合を構成する組合員機関に対し、2023年末までに女性経営陣割合を35%以上にする目標を設定し、2021年には新たにアフリカ系等のマイノリティ人種の経営陣割合に関する目標も設定するとした。実現のためにも、具体策等を示すガイダンスをロイズ・オブ・ロンドン構成機関に発出していく。
【参照ページ】Lloyd’s takes action to accelerate transition to sustainable economy
【参照ページ】プレスリリース「国際保険市場のロイズが脱石炭方針を策定~適切な方向への一歩だが、直ちに全ての新規石炭事業への保険停止が必要~」を発表
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