スウェーデン公的年金基金AP2は12月10日、外国株式と外国社債の運用で、パリ協定の1.5℃目標との整合性を確保すると発表した。これにより、化石燃料関連の企業からの全面的なダイベストメント(投資引揚げ)を決定した。
EUでは、EUベンチーマーク規則により、パリ協定と整合性のあるインデックス「パリ協定整合ベンチマーク(PAB)」がインデックス開発大手から提供されている。AP2は、今秋、自家運用の外国株式と外国社債の運用ポートフォリオでPABでの運用を行ったが、リスクとリターンについてデメリットがないことを確認。これにより、外部委託のポートフォリオも含め、全面的に外国株式と外国社債の運用で化石燃料ダイベストメントを決定した。
AP2の運用資産総額(AUM)は、3,580スウェーデンクローナ(約44兆円)。そのうち外国株式と外国社債での運用額は約2,000億スウェーデンクローナ(約25兆円)と過半を占める。AP2は、将来的には残りのアセットクラスでもPABでの運用に切り替えていく考え。
PABでは、石炭からの売上が全体の1%以上、石油で同10%以上、ガスで同50%以上の企業に対する投資ができなくなる。数値上は石油とガスでは閾値が高く設定されているが、実際には石油・ガス大手は閾値を超えてしまうため、実質的に全てのエネルギー関連企業が今回の条件で除外されることになる。また、石炭、石油、ガスでの火力発電比率50%以上を超える電力会社も除外対象となる。これらにより、約250社が投資除外銘柄に指定されるという。
AP2が気候変動リスクをポートフォリオに織り込み始めたのが2013年。当初は石炭火力発電に依存する企業を中心に80社を投資除外していたが、2016年に、2045年までに投資ポートフォリオのカーボンフットプリントをゼロにする目標を設定していた。今回ついに化石燃料からの全面的なダイベストメントに至った。
【参照ページ】Andra AP-fonden is aligning its portfolio with the Paris Aligned Benchmark
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