気候変動・大気汚染防止のマルチステークホルダー型国際パートナーシップ(CCAC)が運営する石油・ガス企業国際イニシアチブ「石油・ガス・メタン・パートナーシップ(OGMP)」は11月23日、石油・ガス企業のメタンガス排出量について、透明性の高い新たな報告フレームワーク「OGMP 2.0」を発表した。自社だけでなく持分法適用会社に対しても算出の対象とすることを明確にした。
OGMPは2014年に発足。CCACの他、EU欧州委員会、国連環境計画(UNEP)、米国際環境NGO環境防衛基金(EDF)が活動を統率している。OGMPには現在、ロイヤル・ダッチ・シェル、トタル、BP、エクイノール、Eni、スナム、レプソル、エナガス、アブダビ国営石油(ADNOC)、PTTEP等62社が加盟している。加盟企業全体で、世界全体の石油・ガス生産量の30%を占める。
メタンガスの温室効果は、20年間で二酸化炭素の80倍。気候変動を抑止する上で、メタンガス排出量削減は効果的な施策となる。OGMPは2014年に初版のメタンガス排出報告フレームワーク「OGMP」を発行。加盟企業はその後、同フレームワークに基づく報告を自主的に行ってきた。
同イニシアチブ第2フェーズとなるOGMP 2.0では、メタンガス排出量の正確性と透明性を向上させ、政府機関、投資家等がモニタリングが比較可能な報告フレームワークを策定。報告対象には、企業単体の事業活動ではなく、生産に責任がある多くの持分法適用会社を含める等、石油・ガスのバリューチェーン全体を包括するものにする。
同フレームワークは、2025年までに石油・ガス企業のメタンガス排出量を45%削減し、2030年までに60%から70%削減することも目標として設定した。国際エネルギー機関(IEA)によると、メタンガス排出量の4分の3は、現在の技術で削減可能。約半減まではネットコストはゼロで済むという。
エネルギー業界のメタンガス排出量の90%削減できれば、2050年までの平均気温上昇を0.2℃抑えることができる。化石燃料使用に伴うメタンガス排出量を75%削減すると、2019年の温室効果ガス排出総量の10%相当の削減量になる。
また、国連環境計画(UNEP)と欧州委員会は、「国際メタンガス排出量観測所(IMEO)」の発足計画を最終化中。IMEOは、OGMP加盟企業の報告を含む複数のメタンガス排出量データを集計、分析し、グローバルでの排出量削減を加速する。
【参照ページ】Oil and Gas Industry commits to new framework to monitor, report and reduce methane emissions
【参照ページ】The CCAC Oil & Gas Methane Partnership
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