フェイスブックに対する広告主からのプレッシャーが強くなっている。同社のマーク・ザッカーバーグCEOは5月28日、ツイッターが米トランプ大統領の投稿に対しファクトチェックを促したことが同大統領の反感を買った問題で、ツイッターを批判し大統領を支持するととられる発言をしたことで、社内、NGO、さらには広告主からの批判を招く形となっている。
【参考】【アメリカ】トランプ大統領、SNS・検索事業者の投稿判定が言論の自由と反発。規制強化検討開始(2020年6月7日)
フェイスブックへの広告出稿停止は、7月1日ですでに400社以上に達した模様だが、背景には人権NGOのキャンペーンがある。人権NGOAnti-Defamation League(ADL)、NAACP、Sleeping Giants、Color Of Change、Free Press、Common Senseの6団体は6月17日、フェイスブック上に「#StopHateforProfit」タグをつけるキャンペーンを開始。ヘイトスピーチ対策を真剣に実施しないフェイスブックへの広告出稿を、2020年7月1日から7月30日まで一斉に停止することを呼びかけた。
6月21日には、パタゴニアとノースフェイスがボイコット・キャンペーン「#StopHateforProfit」への参加を表明し、米国でのフェイスブックとインスタグラムへの広告掲載を停止した。他にも6月30日までに、ベン&ジェリー、エディー・バウアー、アイリーン・フィッシャー、REIも参加を公式表明した。
さらに6月26日にはユニリーバが声明を発表し、ヘイトスピーチが飛び交うSNS広告掲載を米国大統領選挙期間中に行うことは得策ではないと判断。2020年末まで米国内でのフェイスブック、インスタグラム、ツイッターへの広告掲載を中止すると表明した。同日夜にはコカ・コーラ・カンパニーも、世界全体で30日間の全SNS広告の停止を発表。6月28日にはスターバックスも声明を発表し、ヘイトスピーチ対策の状況をSNS運営企業と協議する間、フェイスブックを含む全てのソーシャルメディア広告を世界全体で停止すると発表した。
このように今回の一連の動きは、当初はフェイスブックに対する人権NGOのキャンペーンから始まったが、徐々にSNS全体へのヘイトスピーチ対策の問題へと広がっていった。フェイスブックは、問題に対処するため、主たる広告主のCEO、取締役、広告担当役員等に対しボイコット運動への不参加を呼びかけてたという。また同社のヘイトスピーチ対策についての外部監査を受ける考えも表明したが、最終的に踏み込んだ対策はなされないとの観測も出ていた。
但し、モーニングスターによると、フェイスブックの年間売上のうち上位100広告主からの広告収入はわずか6%。それでも状況を忌避する株主からは売りが出ており、株価は6月26日に8%下がったが、7月1日までにすでに下落幅は回復している。
【参照ページ】ADL, NAACP, Sleeping Giants, Common Sense, Free Press and Color of Change Call for Global Corporations to Pause Advertising on Facebook to Stop Hate Online
【参照ページ】An Open Letter to the Companies that Advertise on Facebook
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