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【国際】持続可能な海運イニシアチブ、船舶リサイクル透明性イニシアチブのウェブサイト公開

 持続可能な海運イニシアチブ(SSI)は12月10日、3月に発表した「船舶リサイクル透明性イニシアチブ(Ship Recycling Transparency Initiative:SRTI)」について船舶リサイクルの情報をまとめたウェブサイトをリリースした。業界主導で船舶リサイクル(シップリサイクル)を推進するため、船舶リサイクルの現状の透明化を図る。世界全体で2018年に835隻の船舶がリサイクルされた。

 SSIには船舶・海運業に関わる世界の主要な企業が自主的に加盟している。現在の加盟企業は、海運世界最大手デンマークのA.P.モラー・マースク、シンガポールのChina Navigation Company、シンガポールのIMC、独オルデンドルフ・キャリアーズ、食品業界で海上輸送に関わる米バンジと仏ルイ・ドレフュス、船舶エンジンメーカーであるフィンランドのバルチラ、船舶塗料メーカーであるオランダのアクゾノーベル、歴史的に海運事業と関わりの深いオランダの金融大手ABNアムロ、船級協会であるロイズ船級協会(ロイドレジスターグループ)、英船舶審査大手RightShip、印船舶リサイクル大手Priya Blue、英サステナビリティ推進NGOのForum for the Future、世界自然保護基金(WWF)。SSIの加盟企業は過去2年間で脱退、新規加盟が相次いだ。

【参考】【国際】持続可能な海運イニシアチブ、2040年までの達成目標とロードマップ策定(2016年3月26日)

 船舶リサイクルは、多くがバングラデシュ、インド、パキスタン等の南アジア諸国で実施されている。現地の沿岸部では、干満差を利用し船舶を座礁させ、潮が退いている時間帯に船舶を解体する「ビーチング」が一大産業となっている。解体作業では、船舶の残された残油や汚水による汚染、揮発性ガスによる火災・爆発、高所からの墜落、船体に残されたアスベスト、PCB、重金属等による環境破壊や人体健康被害が発生している。そのため、解体時に問題となる有害物質を含む装置等を船舶に設置・使用することを禁止または制限することを主とする「シップリサイクル条約」が、2009年に国際海事機関(IMO)の下で採択されたが、署名国が規定に達せず、発効には至っていない。また劣悪労働環境の問題もある。

 SSIが3月に発表した「船舶リサイクル透明性イニシアチブ」は、国際規制が存在しない状況下で、船舶リサイクルのバリューチェーンを透明化するため、船主が自主的にリサイクル情報を開示し、荷主や投資家、金融機関等が事業の意思決定に活用できるようにするもの。今回リリースしたウェブサイトでは、船主の情報開示と、荷主や投資家、金融機関の情報活用への署名を同時に募っている。

 他にもSSIは5月、二酸化炭素排出量ゼロの船舶を建造するためのレポートを発表。今後の課題を示した。

【参照ページ】Ship Recycling Transparency Initiative launches new platform to drive responsible ship recycling
【参照ページ】New transparency initiative launched to accelerate responsible ship recycling practices
【イニシアチブ】SRTI
【ウェブサイト】Ship Recycling Transparency Initiative
【参照ページ】SSI Launches ‘Zero Emission Vessel, what needs to be done’ Report
【参照ページ】世界の船舶解撤の現状とシップリサイクル条約への対応に関する調査調査報告書
【参照ページ】シップ・リサイクル条約に関する動向について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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