国連責任投資原則(PRI)は4月3日、債券投資における発行体とのエンゲージメント手法ガイダンスを発行した。ESGリスクの特定やマネジメント等について解説している。ESG投資では株式投資での議論が先行しており、債券投資におけるエンゲージメントは手法が模索されていた。今回、先進的事例を持つ機関投資家へのインタビューを踏まえ、現状と推奨アクションをまとめた。
債券投資家は投資先企業に対して、株主のような公式な権限は有していない。しかし、PRIの署名機関の中でも債券発行体へのエンゲージメントをしているところは少ないくない。PRI署名機関のうち66%が、2017年に1つ以上の債券発行体へのエンゲージメントを実施。地域別ではアフリカが82%で最多。北米は71%、欧州は63%、アジアでも58%の機関投資家が実施していた。しかし、債券投資先のうち25%以上の発行体とエンゲージメントした機関投資家は30%にも満たなかった。
PRIは、エンゲージメントをした理由については、主に、ESG関連の情報開示向上、特定のESGリスクや価値創造機会への対処方法への影響力行使、投資から得られる国連持続可能な開発目標(SDGs)等のESGインパクトの最大化の3つがあると説明。ESGリスクに関しては、発行体固有リスク、業種リスク、地域リスク、システミックリスク、間接的なリスク・エクスポージャー等様々なものがある。
エンゲージメントは、発行体の経営に微細に口を出すというものではなく、相互コミュニケーション、相互学習、外部の声を用いた社内議論の円滑化のための双方向の対話というスタイルが用いられている。エンゲージメントを実施するタイミングは、公募債と私募債、また発行前と発行後では適している手法が異なる。同ガイダンスでは、粗各々のメリットを紹介し、各フェーズに応じた戦略的なエンゲージメントを思考すべきだとした。
【参照ページ】The PRI examines how ESG engagement can benefit fixed income investors
【レポート】ESG Engagement for Fixed Income Investors
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