環境省は7月25日、日本の環境技術・制度を発展途上国に展開することを支援する「環境インフラ海外展開基本戦略」を発表した。環境省として、日本の企業等が保有する技術やノウハウの海外展開を後押しする。
今回の「環境インフラ海外展開基本戦略」は、内閣府に設置されている経協インフラ戦略会議で策定された「インフラシステム輸出戦略(平成29年度改訂版)」の内容に基づくもの。「インフラシステム輸出戦略」は初版が2013年5月に決定され、その後改訂を重ね体制を強化してきている。「インフラシステム輸出戦略」は、日本企業のグローバル競争力強化のため、政府が一丸となって日本企業のインフラ技術・ノウハウ海外展開を支援することを定めた。インド太平洋地域で日本の対外影響力を拡大したいという政治的思惑もある。
そのため「インフラシステム輸出戦略」には、活動内容として、首相・大臣の外遊時のトップセールス、議員外交との連携、政府開発援助(ODA)の活用、在外公館や日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JICA)等政府関係機関の連携強化、アジア開発銀行(ADB)等国外機関との連携強化、海外見本市・国際会議・セミナーの開催、各国駐日大使等を対象にした施設・企業訪問ツアーの開催、CMプロモーションが盛り込まれている。海外展開の資金面でも、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)、日本貿易保険(NEXI)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、日本貿易振興機構(JETRO)等がプロジェクト初期から議論に参加し、案件組成からファイナンスまで一貫した提案が可能な体制づくりに乗り出すことを決めている。
官邸は「インフラシステム輸出戦略」を積極的に推進するため、「フォローアップシート」を作成し、各府省の達成ゴールを200項目以上設定。定期的に進捗状況をチェックすることで、各府省へのプレッシャーを強化している。
今回環境省が発表した「環境インフラ海外展開基本戦略」では、従来からの気候変動の緩和分野に加え、廃棄物分野が位置づけられたのを踏まえ、環境省として総合的に推進するための戦略骨子を固めた。取り組む内容は、「二国間政策対話、地域内フォーラム等を活用したトップセールスの実施」「制度から技術、ファイナンスまでのパッケージ支援とその経済的社会的効果の発信」「民間企業、自治体、関係省庁や国内外の援助機関等と連携した実施体制の強化」の3点。取組分野として「気候変動緩和」「気候変動適応」「廃棄物・リサイクル」「浄化槽」「水環境保全」「環境アセスメント」の6つを定めた。
内閣官房が決定した「インフラシステム輸出戦略(平成29年度改訂版)」には、低炭素社会への移行を支援するため、原子力発電分野での協力、石炭やガスなどを効率的に活用できる高効率火力発電、とりわけIGCC(石炭ガス化複合発電)の海外展開を支援することを謳っている。この分野の推進に向け、経済産業省、外務省、財務省、JICAには結束することが要求されている。
経協インフラ戦略会議は5月の会合の中で、2015年の日本のインフラ輸出の受注実績が、昨年より1兆円多い約20兆円だったと発表。政府は、2020年までに年間受注目標を30兆円にまで増やす政策。
【参照ページ】環境インフラ海外展開基本戦略の策定について
【文書】環境インフラ海外展開基本戦略
【文書】インフラシステム輸出戦略(平成29年度改訂版)
【文書】インフラシステム輸出戦略(平成28年度改訂版)フォローアップシート
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