国際人権NGOのビジネス・人権資料センター(BHRC)は4月26日、再生可能エネルギー投資に際し投資家に対して人権を配慮するよう求める提言をまとめた報告書「Renewable Energy Impact on Communities」を、インパクト投資推進団体Transform Finance、インパクト投資会社Sonen Capitalと共同で発表した。
再生可能エネルギー発電所建設プロジェクトは、気候変動緩和など環境面でのメリットが期待される一方、土地収奪、先住民の強制転居、暴力や殺人等、人権侵害を伴うものになるリスクが潜んでいる。BHRCの調査によると、人権侵害の報告数は、2005年以降115件、そのうち2010年以降が94件と、近年増加傾向にある。エネルギー関連のプロジェクトでは、大規模ダム、化石燃料火力発電、原子力発電などでは、人権侵害リスクに対する認識が進みつつあるが、再生可能エネルギー発電でも同様のリスクがあることはあまり認識されていない。BHRCは、今回、水力発電と風力発電の世界大手企業約50社を調査。水力発電や風力発電の建設を進める企業のうち、国際的に先住民に対し認められている「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」の権利を尊重するポリシーを制定している企業はわずか10%しかなかった。
BHRCは、再生可能エネルギープロジェクトに潜む人権侵害の中で、「土地や天然資源の権利」「先住民の権利」「治安」の3つを取り上げ、具体的な人権の内容と投資リスクを解説。投資家に対しては、人権侵害を犯すことによる操業コストの増加、プロジェクトの遅延、資金調達の難航など、具体的なリスクを例示した。
BHRCは、今回の報告書作成にあたり、国連責任投資原則(PRI)や国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)を含む30人以上の専門家からも意見を聞き、内容に盛り込んだ。
【報告書】INVESTOR BRIEFING: RENEWABLE ENERGY IMPACTS ON COMMUNITIES
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