欧州委員会は10月10日、海運業界での定期船コンソーシアムをEU競争法ルールの適用除外とするEUの法的枠組み(CBER)を延長しないことを決定した。2024年4月25日にCBERが失効する。CBERがもはや競争を促進するものになっていないと判断した。
定期船コンソーシアムとは、特定の航路で定期的な非バルク海上貨物輸送(大半はコンテナ船)を複数企業合同で提供する仕組み。多額の投資を必要とするため、複数の海運会社がコンソーシアムを組んで定期的に提供している。コンソーシアムは、規模の経済と船舶スペースの有効活用につながるため、港湾のカバー率の向上やサービスの改善という形で、海運サービスの利用者に利益が還元されるとみなされてきた。
欧州委員会は2009年、EU理事会規則246/2009に基づき、一定の条件の下でCBERの実施協定を締結することを認める規則を採択。当初は期限5年の時限立法だったが、2014年と2020年に延長していた。その後、欧州委員会は、CBERの終了に向け、2022年8月にレビュープロセスを開始し、関係者からの意見収集を行っていた。米国との関係当局とも意見交換を実施した。
欧州委員会が今回発表した文書では、2020年から2023年までの期間を通じ、CBERの有効性や効率性が高くないとの評価結果を公表。また、CBERの対象となるコンソーシアムの数や規模が小さいことから、CBERが海運会社にもたらすコンプライアンスコストの削減効果は限定的とした。さらに、評価期間中、CBERはもはや、小規模な海運会社が協力し、大規模な海運会社と競争して代替サービスを提供するための役に立っていないこともわかった。
欧州委員会は今回、CBERの終了が即、海運会社間の協力がEUの競争法上違反となるわけではないということを強調している。EU域内を発着する海運会社には、水平ブロック適用除外規則と特殊化ブロック適用除外規則も設けられており、広範なガイダンスに基づき競争法上の違反を評価することになるとした。
【参照ページ】Commission decides not to extend antitrust block exemption for liner shipping consortia
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