自動車世界大手米フォードは9月25日、ミシガン州マーシャルで建設を進めていたEVバッテリー工場の建設作業を一時中断としたと発表した。競争力のある工場運営への懸念を理由に挙げたが、詳細は明らかにしていない。
同社は2月、35億米ドル(約4,600億円)を投じ、同工場の建設計画を発表。工場運営では、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)から技術ライセンスを受けると発表していた。また2,500人の雇用創出の見通しを示していた。同工場の生産能力はEV40万台分のバッテリーを生産。2026年の稼働開始を予定している。
今回の発表については、理由として2つの説が噂されている。1つ目が、CATLからライセンスを受けることで、中国依存が高まると米共和党陣営から批判されている点。
もう一つは、現在直面している労働組合からのストライキによるもの。全米自動車労組(UAW)は9月15日、フォード、GM、ステランティスの組合員にストライキ突入を指示している。同ストライキでは、フォードのミシガン組立工場(リージョン1Aローカル900)の約3,300人がストライキに入っており、さらに9月22日には、交渉期限を迎えても会社側が要求を飲まなかったことを理由に、GMとステランティスの合計20州38ヶ所の部品配送拠点で合計約5,600人が新たにストライキに入った。UAWは、今回のストライキ手法を「スタンドアップ・ストライキ」と呼称し、徐々にストライキを対象を拡大し、企業側を揺さぶる戦略に出ている。
【参考】【アメリカ】全米自動車労組、ビッグ3で段階的ストライキ突入。史上初。労使交渉決裂(2023年9月15日)
フォードは、今回の労使交渉で、比較的妥協の姿勢を示してきたが、ジム・ファーレイCEOは、メディアへのインタビューの中で、もしUAWが求めている給与や手当を全面的に受け入れていたら、EVへの投資を中止せざるをえないと語っていた。
バイデン大統領は9月22日、今回のストライキでUAW側を支持し、自身もミシガン州入りすると発表。またその前の9月20日にトランプ前大統領もUAWの応援でミシガン州入りをSNSにコメントしたことから、バイデン大統領も負けじと動いたとの見方もある。事態収集の見通しはみえない。
一方、フォードのカナダ法人は9月24日、自動車業界従業員も加盟しているカナダ労働組合「ユニフォー」との間で、今後3年間の労使交渉が成立したと発表。労使交渉では、フォードのカナダ法人として史上引上げ幅最大となる給与15%引上げで合意。臨時ボーナスとして、フルタイム従業員には1万カナダドル、パートタイム従業員には4,000カナダドルの支給も決定した。新入社員の賃金昇格期間も半分に短縮し、年金給付率の大幅引上げも決まった。
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