国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は9月4日、IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)に対し、IFRSが実施している今後の作業の優先順位を尋ねるパブリックコメントへの回答を公表した。
同回答では、まず、優先順位が高い分野として、企業がサステナビリティに関連したリスクと機会を短期・中期・長期の時間軸で識別するための、要件やガイダンスの策定を求めた。その上で、すでに国連環境計画(UNEP)と経済協力開発機構(OECD)は合同「インパクト・マネジメント・プラットフォーム(IMP)」を運営しており、時間軸の特定プロセスについて解説することを検討していることも伝えた。
【参考】【国際】15機関、インパクト・マネジメントの共通見解発表。国連機関や基準策定機関(2023年7月16日)
続いて、気候変動、自然、人権・不平等に関する相互連関を理解することも優先順位が高いとした。UNEP FIは、新たな基準策定よりも、すでに策定したS1とS2の普及作業の方がやるべきことが多いとの認識を示しつつも、ISSBが自主的にS2に続く基準策定の意思を示したことには支持を表明。その上で、作業を効率的に進めるため、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)、不平等関連開示タスクフォース(TIFD)、社会関連財務情報開示タスクフォース(TSFD)等からも知見を得られるとした。
【参考】【国際】不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)活動開始。2024年にメンバー決定(2023年9月2日)
人権と人的資本については、両分野は関連性が非常に高いため、統合すべきと提案。その上で、人的資本では、公正な移行(ジャスト・トランジション)の観点が最重要との考えを示し、スキル開発、社会的対話、社会的保護が大事と伝えた。
【参考】【国際】機関投資家24団体、ISSBに人的資本と人権の一体基準の策定要請。不可分(2023年8月31日)
財務情報と非財務情報の統合については、まずはサステナビリティ全般のリスクと機会を広く理解し、ここのトピックに精通する必要があるため、今後の2年間の活動では、情報統合の基準の優先順位は低いとした。
SASBに関しては、ISSBとは別にSASBスタンダードが存在している状況を廃止し、ISSBの基準の中に統合していくべきとした。
【参照ページ】UNEP FI responds to IFRS Consultation on ISSB agenda priorities
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