岸田文雄首相は9月4日、東京電力ホールディングスがALPS処理水の海洋放出を開始したと同時に中国政府が日本産水産物を全面禁輸した対策として、「水産業を守る」政策パッケージを発表。その一環として、日本政府は9月5日、「ALPS処理水関連の輸入規制強化を踏まえた水産業の特定国・地域依存を分散するための緊急支援事業」に予備費207億円を投入することを閣議決定した。
中国での禁輸では、中国政府が日本の水産物の全面禁輸を発表。マカオ特別行政区政府(民政総署)も8月22日、8月24日から日本の10都県からの生鮮食品の一部に対する輸入禁止措置を発動。香港政府も8月24日、10都県からの水産物、海塩、海藻の3つを指定し輸入禁止措置を発動している。
【参考】【マカオ】政府、ALPS処理水海洋放出に反発し10都県からの生鮮食品輸入禁止。香港も続くか(2023年8月23日)
【参考】【中国】中国、日本産水産物を全面禁輸。ALPS処理水海洋放出に抗議。香港はまだ様子見(2023年8月25日)
2022年の日本の国別水産物輸出額は、中国が836億円(21.6%)、香港が498億円(12.8%)、マカオが21億円(0.01%)で3ヶ国・地域で34.5%を占める。輸出品は、ほたてがいとなまこで全体の5割以上を占めている。特に、なまこは、輸出額に占める中国及び香港向けが73%を占めており、影響が大きい。ほたてがいも35%を占める。
岸田首相が発表した「水産業を守る」 政策パッケージは、「国内消費拡大・生産持続対策」「風評影響に対する内外での対応」「迅速かつ丁寧な賠償」「輸出先の転換対策」「国内加工体制の強化対策」の5つで構成。このうち、「国内消費拡大・生産持続対策」「風評影響に対する内外での対応」「迅速かつ丁寧な賠償」は、すでに合計800億円の基金を創設することで対応。加えて、今回新たに「輸出先の転換対策」「国内加工体制の強化対策」が加わり、予備費207億円を投入することが決まった。
「輸出先の転換対策」の中身は、輸出減が顕著な品目(ほたて等)の一時買取・保管支援や、海外も含めた新規の販路開拓を支援の他、需要家とのマッチングや海外市場開拓等。国内体制強化では、加工工場での人件費や設備投入費への補助金を上乗せする。
【参照ページ】「ALPS処理水関連の輸入規制強化を踏まえた水産業の特定国・地域依存を分散するための緊急支援事業」に関する予備費が閣議決定されました
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