アジア機関投資家の気候変動イニシアチブAIGCCは8月21日、香港の気候変動シンクタンクCWR(チャイナ・ウォーター・リスク)と協働し、アジア・オセアニア地域の銀行に対する公開書簡を発表。気候変動ストレステストで海面上昇にょる沿岸の水害リスクを考慮するよう促した。
今回の公開書簡は、機関投資家の投資先技能への集団的エンゲージメントの一環。海面上昇リスクは急速に加速するとともに、海面上昇はそのもののリスクだけでなく、自然災害リスクを倍加させるファクターにもなると警鐘を鳴らした。また英国国立海洋学センターの予測データも紹介し、海面上昇は世界全体のコストは、2100年までに年間14兆米ドルに達するとした。さらに、アジア太平洋地域は、2050年まで2億3千万人以上が危険にさらされるとの予測があることにも言及した。
一方、銀行が実施している気候変動ステレステストは、30年以下の時間軸がメインのNGFSのシナリオを活用されることが多いが、海面上昇リスクは2060年までに加速すると予想されており、さらに氷床の胴体に関連するティッピング・ポイントによって急激な上昇が起こる可能性もあると指摘。時間軸を50年から80年に延ばすべきと要請した。
また、ストレステストで用いる海面上昇では、IPCCが提示してきた「2100年に1.04mから2.33m」のうち1.04mを使いがちだが、リスクを過小評価することにつながると述べた。そのため、すでにIPCCが示している2mを最低限、場合によっては5mのシナリオも分析に含めるべきとした。
さらに、海面上昇リスクへの対応で、政府の対策可能性も考慮にいれるべきとした。これにより、分析結果に基づき政府とのエンゲージメントが効果的となるため、どのような政策が必要かも含めて検討すべきとした。
【参照ページ】Key Asian Banks’ Stress Tests Miss Coastal Threats, say Investors and Think Tank
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