三井住友トラスト・ホールディングス(SMTH)傘下の三井住友信託銀行は、デジタルトランスフォーメーション(DX)人材を社内育成するためのリスキリングに今後3年間で30億円を投ずる模様。日本経済新聞が8月14日、報じた。
三井住友信託銀行は、ファイナンス事業の一環で、投融資先に対し、人的資本への投資の重要性を以前から伝えていた。その中で、DXとグリーントランジションの必要スキルの向上が重要と指摘していた。今回ようやく自社の人的資本でのDX強化に本腰を上げる形となる。
報道によると、同社はデジタルスキルを4段階に分け、ITパスポート相当の人材を下から2番目のレベル1とし、全社員9,000人のリスキリングを実現。さらに1億円未満のシステム導入案件の指揮や簡単なプログラミングができるレベル2では、管理部門と営業の一部6,500人を目標とした。レベル3はIT関連部門の900人を対象に、大規模案件の指揮ができるようにする。AIや生成AIに関するレベル設定については不明。
日本の大手金融機関では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、傘下の三菱UFJ銀行はITパスポート相当のeラーニングを全社員に必修としていることに加え、外部資格取得を促すデジタルスキル認定制度を導入し、すでに1,600人以上がゴールド認定を取得。さらにデジタルスキル認定に3年間で総額12億円を投資することも表明している。同じくAIや生成AIに関する人材育成については開示がない。
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は2021年3月に、全社員を対象としたデジタル研修「SMBCグループ全従業員向けデジタル変革プログラム」を開始したことが話題となった。最近の開示では、3年間でDXやアナリティクス分野に300人を増員する計画を掲げている。同じくAIや生成AIに関する人材育成については開示がない。
みずほフィンシャルグループは、IPAレベル1相当以上の人材を2025年までに1,000人増、IPAレベル3相当以上の人材を同100人増とする目標を掲げている。同じくAIや生成AIに関する人材育成については開示がない。また傘下のみずほ銀行は5月30日、みずほリサーチ&テクノロジーズと協働し、「Mizuho人的資本経営インパクトファイナンス」を発表し、独自に開発した人的資本指標で上から2番目のA以上を取得した企業のみを対象とする融資制度を始めた。融資第1号はIHI。但し、DX関連指標は含まれていない。
最新調査によると、国別AIランキング「世界AIインデックス(GAII)」で日本は12位と低迷しており、民間投資が遅れていると指摘されている。経済産業省も、生成AIの企業(主に大企業)での導入率は、世界平均40%に対し、日本では24%にとどまっていると危機感を示している。
【参考】【日本】世界AIランキング、日本12位で中韓の後塵。首位は米国で圧倒的差。企業投資に課題(2023年8月14日)
【参考】【日本】経産省、デジタルスキル標準改訂。生成AI時代のマインドやスキルを追加(2023年8月13日)
【参照ページ】三井住友信託、正社員7割DX人材に 30億円で学び直し
【参照ページ】プロ人材育成・リスキル
【参照ページ】価値創造を支える人材戦略
【参照ページ】人材と組織
【参照ページ】「Mizuho人的資本経営インパクトファイナンス」の取り扱い開始について
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