欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は7月18日、ベルギーのブリュッセルで開催されたラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体(EU-CELAC)首脳会議の機会を利用し、チリのガブリエル・ボリッチ大統領と会談した。ティエリー・ブルトン欧州委員とチリのアルベルト・ファン・クラベレン・ストーク外相の間で、持続可能な原材料バリューチェーンに関するEUとチリのパートナーシップで覚書を締結した。
EUは2021年12月に「グローバル・ゲートウェイ外交戦略」を、2023年3月には、重要原材料規則案を発表。今後の産業カーボンニュートラル化、デジタルトランスフォーメーション、航空宇宙、防衛等の分野で、レアメタル等の重要鉱物が必要になることを見越し、資源産出国とのパートーナーシップを強化している。
【参考】【EU】欧州委とEU外相、グローバル・ゲートウェイ外交戦略発表。中国の一帯一路に対抗か(2021年12月5日)
【参考】【EU】欧州委、ネットゼロ産業法と重要原材料規則を制定へ。域内生産やリサイクル強化(2023年3月17日)
EUの覚書締結は、今回で5カ国目。2021年6月のカナダを皮切りに、同7月にウクライナ、同11月にカザフスタンとナミビア、そして今回のアルゼンチンとの締結となった。
EUが締結しているパートナーシップは、安全でサステナブルでレジリエントな原材料バリューチェーンの分野での貿易と投資を促進するを目的としている。さらに今回の覚書では、鉱物に関する知見共有、環境・気候フットプリントの最小化等での研究やイノーべションでの協力も盛り込んだ。高いESG基準を導入していくことや、国際労働機関(ILO)の基準に即した人権、能力開発、職業教育訓練、技能開発での協力でも合意した。
EUとチリは今後、双方の行動内容を定めたロードマップの作成に入る。実行の必要な資金は、EUのグローバル・ゲートウェイの外交支援基金から拠出される。
また、EUは同日、アルゼンチンとの間でも、エネルギー協力に関する覚書を締結している。内容は、再生可能エネルギー、省エネ、及び水素や水素誘導体を工業プロセス、輸送、バッテリー等で利用することの促進。天然ガスのサプライチェーンでのメタン漏出削減でも協力することで合意した。加えて、今後の重大プロジェクトや事業等に関する投資において、両国の環境関連法を遵守し、生物多様性喪失の阻止、水系と水関連生態系の保護・保全・再生を強調した。
【参照ページ】Global Gateway: EU and Chile strengthen cooperation on sustainable critical raw materials supply chains
【参照ページ】EU-CELAC Summit: EU and Argentina step up cooperation on clean energy transition and energy security
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