米カリフォルニア州大気資源局(CARB)は4月28日、「アドバンスト・クリーン・フリート・ルール(ACF)」を決定。中・大型車の販売と使用で、2045年までにゼロエミッション車両比率100%を段階的に実現することを決めた。また7月には、全米の主要トラックメーカー10社、及びトラック・エンジン製造業協会との間で、「クリーントラック・パートナーシップ」を発表し、CARBの新ルールへの賛同を取り付けた。
ACFは、車種毎に転換期限を設けており、バンや軽量トラックは2035年までに、一般トラックは2039年までに、長距離トレーラーや特殊車両は2042年までの転換が義務付けられた。経過目標も設定された。
(出所)CARB
同ルールでは、トラックメーカーに対し、2036年以降は、ゼロエミッション型の中・大型トラック以外の販売を禁止した。またカリフォルニア州内で1台以上の中・大型車両を所有または運行し、年間売上が5,000万米ドル以上、もしくは合計50台以上の車両(小型の荷物配送車両を除く)を所有もしくは運行している事業者に対しては、保有・運行車両の段階的なゼロエミッション化も義務化した。対象は、総重量8,500ポンドを超える車両。
配送車両に関しては、2024年1月1日以降、州当局への登録が義務化され、ゼロエミッション車両出ない場合は2024年1月1日、登録ができなくなる。すでに登録されている車両は、耐用年数まで運行が可能だが、港湾と複合一貫輸送貨物ヤードに入港する車両は、2035年までにゼロエミッション化が義務付けられる。
その他の車両と、連邦政府の車両については、2024年以降はゼロエミッション車両のみを購入し、2025年1月1日以降は法定の耐用年数に達した内燃機関車両は使用が禁止となる。もしくは、別途用意された「マイルストーン・オプション」に従い、段階的に転換していく選択肢も用意された。
州・地方政府車両については、購入車両に占めるゼロエミッション車両比率を2024年以降は50%、2027年以降は100%とすることを義務化。但し、車両保有台数が10台以下の小規模自治体等は、2027年以降の100%達成のみが課される。もしくは、連邦政府車両と同様に、別途用意された「マイルストーン・オプション」に従い、段階的に転換していく選択肢を採ることも可能。
また、2050年までの窒素加工物(NOx)、PM2.5、二酸化炭素の長期合計削減目標も2024年比で策定された。
同ルールに関しては、連邦政府の大気浄化法(CAA)より厳しい規制となっているが、バイデン政権は3月、CARBの独自ルールを承認。しかし、トラックメーカー側は、不服としており、CARBは調整を継続。ついに7月6日、全米の主要トラックメーカー10社、及びトラック・エンジン製造業協会との間で、「クリーン・トラック・パートナーシップ」を締結。ゼロエミッション車(ZEV)の商業用トラックを開発していくと共同表明した。
クリーン・トラック・パートナーシップに加盟した10社は、カミンズ、ダイムラー・トラック・ノースアメリカ、フォード、GM、日野自動車、いすゞテクニカルセンター・オブ・アメリカ、ナビスター、パッカー、ステランティスNV、ボルボ・グループ・ノースアメリカ。
同パートナーシップでは、3つの事項で合意した。まず、CARBは、米環境保護庁(EPA)の2027年窒素化合物(NOx)規制と整合させることを約束しつつ、カリフォルニア州独自の排出目標を維持するために必要なオフセット手段を活用できるようにした。
次に、CARBは、新たな規制を課す前に、4年以上のリードタイムを設け、3年間以上規制を変更しない期間を設けることも約束した。
3つ目は、トラックメーカーのコミットメントで、他の団体がカリフォルニア州の規制権限に異議を唱えとしても、同州におけるCARBのゼロエミッション・ルールと基準汚染物質ルールを満たすことを約束した。
【参照ページ】CARB and truck and engine manufacturers announce unprecedented partnership to meet clean air goals
【参照ページ】Advanced Clean Fleets Regulation Summary
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