欧州委員会は7月11日、貨物輸送の省エネとサステナビリティ向上のための政策を発表した。欧州委員会は、欧州グリーンディール戦略の中で、2050年までに輸送からの排出量を90%削減する目標を掲げており、具体的を確立しにいく。今後、EU理事会と欧州議会との協議に入る。
EU域内で貨物輸送に従事している人は2020年に約600万人。二酸化炭素排出量全体の30%以上を占める。さらに、貨物輸送は2030年までに25%増、2050年までに50%増が見込まれている。EUではすでに、EV充電・水素補給ステーションの設置目標や、航空・海上輸送における持続可能な燃料の導入等の政策を進めており、今回は鉄道輸送やトラック輸送の改革がメインとなった。
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、航空でのSAF及び混合燃料含有義務化で政治的合意。2025年2%(2023年4月26日)
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、再エネ指令改正で政治的合意。イエロー水素は2級品扱い(2023年3月31日)
【参考】【EU】EU、努力分担規則とLULUCF規則が成立。輸送、建物、農業、軽工業、廃棄物で40%減(2023年3月29日)
まず鉄道輸送では、利用効率や利便性を向上する。具体的には、旅客では定時運行と切符の早期予約、貨物輸送ではジャスト・イン・タイムのサプライチェーンに適応した柔軟な列車運行を実現するための規制を整備しにいく。特に鉄道貨物の約50%は加盟国を跨ぐ国際輸送となっており、各国でのばらばらな運行オペレーションにメスを入れる。
トラック輸送改革では、ゼロエミッション車両は重量が増加する傾向にあるため、既存の重量・寸法指令を改正し、追加重量を認める考え。また将来、軽量化が進むことで、従来のトラックと比べても積載量が増えることを期待する。また、流体力学を考慮したキャビン設計や、省エネ装置の導入、ゼロエミッション・パワートレイン(エンジンからの動力を車両に伝達する機構)の性能向上も奨励していく。
また、企業の物流サプライチェーンの排出量報告に関するガイドライン案も発表。国際標準化機構(ISO)が3月にリリースした物流での排出量基準算定国際規格ISO14083を活用した。
【参照ページ】Green Deal: Greening freight for more economic gain with less environmental impact
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら