科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)は6月15日、金融機関向けのカーボンニュートラル目標設定で、新たに3つガイダンス案に関するパブリックコメントの募集を開始した。募集締切は8月14日。
今回パブリックコメントが募集されているのは、
- 金融機関向けネットゼロ(FINZ)基準の概念フレームワークと初版基準
- 金融期間向けの科学的根拠に基づく短期目標ガイダンス第2版
- 化石燃料ファイナンスのポジションペーパー(短期的及び長期的な基準)
概念フレームワークでは、金融機関向けのカーボンニュートラルの対象スコープとして、スコープ1とスコープ2、及び金融事業に関するスコープ3を評価項目とし、金融事業には投資、融資、証券引受、保険事業の4つが含まれることを明記。さらに、目標設定として、長期的な2050年までの金融事業でのカーボンニュートラル達成と、2030年及びそのご5年毎の短期目標の設定を必須とした。
1.5℃の整合性については、ポートフォリオのカーボンフットプリント全体の削減だけでなく、高排出セクターへの新規・追加ファイナンスの禁止と、グリーンビジネスへのファイナンス促進の2つも含まれる。
また短期目標ガイダンス第2版案では、バイオエネルギーについては、燃焼による排出量と、栽培による吸収量の双方を算出することとし、排出と栽培でカーボンニュートラルが実現できていると考える場合には説明するよう求めた。土地利用変化(LUC)での排出量についても特筆すべきとした。
カーボンオフセットを活用した削減した分は、科学的根拠に基づく削減分としてはカウントされない。また削減貢献量分についてもカウントされない。
化石燃料ファイナンスのポジションペーパー案では、金融事業での化石燃料エクスポージャーからのスコープ1、2、3の算出と金額換算でのエクスポージャーの毎年の開示を義務化。石油とガスについては、削減努力のない(Unabated)事業関連の法人ファイナンス及びプロジェクトファイナンスの即中止を明記。石炭については、Unabatedも含め一切の法人ファイナンス及びプロジェクトファイナンスの即中止を明記した。
既存の化石燃料ファイナンスについても、1.5℃シナリオと整合性のある総量、原単位、設備投資指標の削減をファイナンス先企業にエンゲージメントするよう明記。その際、化石燃料関連企業はスコープ1、2、3までを削減対象としなければならない。
SBTiは7月6日にウェビナーを開催し、今回のガイダンス案について説明する。
【参照ページ】The SBTi launches three draft financial sector resources for public consultation
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