フランスで短距離国内線フライトを禁止する法律が5月23日に施行された。フランスの空港や航空会社はロビー活動し、欧州委員会での異議申立て調査が行われていたが、欧州委員会は2022年12月、欧州航空サービス規則の観点でも合法との判断を下していた。
【参考】【EU】欧州委、フランス政府の短距離航空路線廃止を合法と判断。3年以内の時限ルール(2022年12月12日)
同法は、電車で2時間半以内に移動できる国内線は飛行禁止としている。さらに、欧州委員会の判断により、同じ区間の鉄道が、航空機で移動する乗客のニーズを満たすのに十分な頻度、時間、接続性を持ち、乗客数の増加を吸収できるものであることが条件となっている。目的地に8時間以上滞在できるような、早発・遅発の列車があることも条件となっている。これらの条件を満たしていない国内線フライトは容認される。また、乗継便は禁止対象除外となる。
今回の法律が施行された結果、具体的には、パリ・オルリー空港とナント、リヨン、ボルドーの3ハブ空港を結ぶ国内線がほぼ廃止となった。今後、多くの鉄道での増便が予想される。3路線の合計では、フランス本土から離陸するフライトが排出する排出量のわずか0.3%、フランス国内のフライト排出量の3%に過ぎない。
さらに、輸送の環境と公平性を高めるため、短距離の移動にプライベートジェットを使用することも取締の対象となる。2022年にフランスから離陸したプライベートジェットは84,885機で、離陸回数では英国に次ぐ2位だった。
同法はフランスの2021年気候法の一部として制定された。もともとは、フランスの気候市民会議から発案されたものだった。今回の実質的な禁止が3路線のみだったことで、対象をさらに拡大すべきとの声も上がっている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領が発足した環境委員会は当初、鉄道移動で4時間未満の国内線フライトの禁止を推奨しており、対策が小さくなったと批判する向きもある。
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