科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)は4月28日、金融機関向けの二酸化炭素排出量短期削減目標に対する承認制度を改定するとともに、新たに金融機関向けのネットゼロ・スタンダード(FINZ)を導入すると発表した。2023年第2四半期に原案を公表し、パブリックコメントを募集する。2024年以降に導入する計画。
【参考】【国際】SBTi、金融機関向けのCO2排出削減目標承認作業開始。銀行、保険、機関投資家向けに(2020年10月5日)
現在、金融機関向けの二酸化炭素排出量短期削減目標に対する承認を受けている金融機関は60以上。さらに150社以上がコミットメントしている。日本企業では、東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、MS&ADインシュアランス・グループ・ホールディングスの損保大手3社がコミットメントを提出している。
今回の発表では、金融機関向けでは短期目標と長期のカーボンニュートラル目標の承認を一本化。PCAFのカーボン・フットプリント算出ガイドラインや、グラスゴー金融連盟(GFANZ)の目標設定プロトコル、国連の「非国家主体ネットゼロ・エミッション・コミットメント専門家グループ」の原則を土台にしていく。SBTi化石燃料ファイナンス・ポジションペーパーも用意する。保険引受、有価証券引受、アドバイザリーサービス等のメソドロジーも用意するため、証券会社(投資銀行)も重要なターゲットとなる。
【参考】【国際】国連専門家グループ、カーボンニュートラル宣言要件を提言。グリーンウォッシュ防止(2022年11月10日)
【参考】【日本】金融庁、GFANZ寄りのトランジションファイナンス調査報告書発行。経産省とは距離か(2023年4月15日)
新基準が発行されると、旧版は6ヶ月の猶予をもって廃止される。コミットメントを提出済みの企業も、新基準発行から6ヶ月間まで目標の提出期限を延長することが可能。但し、新基準の発行前にSBTiに通知しなければならない。
【参照ページ】Evolution of the SBTi Finance Sector Framework
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