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【EU】欧州委、SFDRのサステナブル投資定義で解釈修正。9条ファンド格下げ申請撤回の動きにも

 欧州委員会は4月5日、欧州金融監督機構(ESAs)に対し、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)での「サステナブル投資」の定義に関する回答を行った。ESAsが2022年11月、欧州委員会に定義の明確化を照会していた。4月14日に公表された。

【参考】【EU】運用会社、SFDRの解釈巡る混乱続く。9条ファンドから8条ファンドへの登録転換相次ぐ(2022年12月23日)

 「サステナブル投資」の定義問題は、SFDRでの「グッドガバナンス」のポートフォリオ適用対象がどこまでかという解釈に関するもの。定義解釈が不明瞭なため、運用会社大手の中で、SFDR上の9条ファンドを8条ファンドに格下げする申請が相次いでいた。

 欧州委員会は今回、金融安定・金融サービス・資本市場同盟総局長(DG FISMA)または同局長が指名した者が、EU法に基づき、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に関して公布されたEU規則の解釈権限を持つことを確認。その上で、解釈修正を行った。

 今回の解釈修正の最大のポイントは、「グッドガバナンス」の解釈。前回のガイダンスでは、欧州委員会は、9条ファンドは、SFDR第2条17項の持続可能な投資の要件に準拠しなければならないとの解釈を示し、第2条17項に盛り込まれている「グッドガバナンス」の遵守要件が不明瞭なため、多くの解釈が生まれていた。保守的な解釈では、サステナブル投資の組入比率が100%でなければならないとなり、9条ファンドの要件を満たさないという意見が出ていた。これが9条ファンドから8条ファンドへの格下げ申請につながった。

 今回の解釈修正では、SFDRでは、「サステナブル投資」の定義は、環境または社会に積極的に貢献し、他の環境および社会目標に著しい害を及ぼさず(DNSH原則)、グッドガバナンスを実証しているの3つを満たすものとしつつ、「グッドガバナンス」について「最低要件を定めてはいない」と明言した。3つの要件については、金融市場参加者は、独自の評価を行い、その基礎となる仮定を開示することのみを求めた。

 気候変動緩和のみで目標を設定する9条ファンドについても、DNSH原則を満たせば、十分に9条ファンドとしての適格性が認められるとの考えも示した。当然、グッドガバナンスについても要件となるが、こちらは基準が明確でないため、各ファンドは任意の説明が許容されることになる。

 今回の解釈修正を受け、運用会社は9条ファンドの格下げ申請を撤回する可能性が出てきた。大手法律事務所リンクレーターズは、欧州委員会が、ESAsの質問から半年後に回答したことに「遅きに失した」とコメントしている。

【参照ページ】https://www.esma.europa.eu/joint-committee/joint-qas#list-of-published-joint-qas
【参照ページ】COMMISSION DECISION
【参照ページ】Questions and Answers pursuant to article 16b(5) of the founding Regulations of the European Supervisory Authorities (ESAs)
【参照ページ】ANNEX I
【参照ページ】ANNEX II
【参照ページ】Commission provides helpful responses to key SFDR questions

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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