厚生労働省は4月27日、2022年5月に改正された労働安全衛生規則に基づき、アクリル酸エチル等、67物質を有害化学物質に指定し、濃度基準値を定めた。企業は、屋内作業場での濃度を濃度基準値に以下に収める義務を負う。労働安全衛生に関する措置。
労働者に対する有害化学物質管理では、従来は、クロロホルムやエチルベンゼン等を規制している特定化学物質障害予防規則の他、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則の4つで規制されていたが、厚生労働省は、労働災害の原因となっている化学物質の多くが規制対象が担っていると判断。2022年5月に省令改正を行った。
今回、管理対象にしていたのは、アクリル酸メチル、一酸化二窒素、イソプレン、エチレングリコール、酢酸ビニル、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルアセトアミド、臭素、ニトロベンゼン、ビフェニル、メチル-ターシャリ-ブチルエーテル(MTBE)等の67物質。各々に関し、8時間濃度または短時間濃度、もしくは両方の基準値が設定されている。
指定された物質に関しては、いかなる企業も、リスクアセスメントの結果に基づき、製造現場もしくは指定物質を取り扱う業務を行う屋内作業場で暴露状況を濃度基準値以下に抑える義務が発生する。
基準値を超える場合には、対策に関する努力義務が規定されている。まず、8時間濃度または短時間濃度の双方が設定されている物質について、暴露における15分間時間加重平均値が8時間濃度基準値を超え、かつ、短時間濃度基準値以下の場合には、暴露の回数が1日の労働時間中に4回を超えず、かつ、当該ばく露の間隔を1時間以上とする。8時間濃度のみが設定されている物質では、暴露における15分間時間加重平均値が8時間濃度基準値を超える場合、当該暴露の15分間時間加重平均値が8時間濃度基準値の3倍を超えないようにする。
また、短時間濃度基準値が天井値として定められている場合は、当該物の暴露における濃度が、いかなる短時間の暴露におけるものであるかを問わず、短時間濃度基準値を超えないようにする。
さらに、有害性の種類及び当該有害性が影響を及ぼす臓器が同一であるものを2種類以上含有する混合物の8時間濃度基準値が、加重平均で1を超えないようする努力義務も発生する。短時間濃度基準値についても同様。
実施が義務化されるリスクアセスメントでは、該当物質の危険性又は有害性を特定し、労働者が当該物に暴露される程度を把握した上で、リスクを見積もる。濃度基準をこえる「おそれがある」と屋内作業が把握された場合には、測定を実施。濃度基準以下に抑える。
【参照ページ】労働者の健康障害を防止するため化学物質の濃度基準値とその適用方法などを定めました
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