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【ドイツ】最後の原発3基が稼働停止。60年のドイツ原発時代に幕。石炭火力も2038年廃止へ

 ドイツ政府は4月15日、最後まで稼働していた原子力発電所の稼働が停止。脱原発が完了した。ドイツでは約60年前に原子力発電が開始したが、ドイツでの原子力時代が終わった。

 今回、稼働を停止したのは、エムスランド原子力発電所の原子炉(PWR、1.406GW、1988年稼働)、イザール発電所2号機(PWR、1.485GW、1988年稼働)、ネッカーヴェストハイム発電所2号機(PWR、1.4GW、1989年稼働)の合計3基。永久閉鎖された。

 ドイツでは、原子力発電の稼働が始まった直後の1970年代から反原発運動が勃興。政治運動としても「緑の党」が誕生した。1979年に、米ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所が部分的にメルトダウンし、1986年にはチェルノブイリ原子力発電所で事故が起きると、さらに反原発運動は激化。ドイツ政府は2002年、今に至る脱原発を方針を決定した。

 しかしドイツ政府は2009年、気候変動対策を進める「つなぎの発電所」として脱原発の撤回方針が出てきたが、2011年の福島第一原子力発電所により、再び脱原発に舵を切った。決断したのは、それまでは原発推進派だった当時のメルケル首相だった。脱原発の期限が2022年12月に設定された。

 ウクライナ戦争後も、ドイツ政府は2022年3月、脱原発の見直しの必要性を検討していたが、見直しの必要なしと判断。その後の9月には、冬の燃料不足懸念から、2022年末を予定していた今回の3基のうちの2基の廃炉を、2023年4月に延期することが決定。さらに12月には残る1基も含めた3基の廃炉延期を正式に決めていた。そして今回、3基の廃炉が実行された。

【参考】【ドイツ】政府、「原発寿命延長はエネルギー安全保障に資さず」。脱原発を予定通り実行(2022年3月9日)
【参考】【ヨーロッパ】EU、ロシア産天然ガスでも上限価格設定へ。ロシアはガス供給停止で対抗(2022年9月7日)

 今後、イザール2号機は保有企業のプロイセン・エレクトラが、エムスラント発電所は保有企業のRWEが、各立地州政府から廃止措置許可を取得し次第、解体に着手。ネッカーヴェストハイム2号機は、すでに保有企業のEnBWが廃止措置に必要な許可をすべて取得しており、解体を開始する。廃炉に必要な期間は、10年から15年と見積もられている。

 ドイツ政府は、2011年の脱原発最終決定後、石炭火力発電、とりわけ品質の低い褐炭を使った発電所が大幅に増加。しかし2019年1月、2038年までに石炭火力発電所の閉鎖も決定。2030年には再生可能エネルギーの電力割合を80%にする政策を決定している。

【参考】【ドイツ】政府諮問委員会、2038年までの石炭火力発電全廃を答申。業界団体や労働組合側も合意(2019年1月31日)

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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