2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットするアセットオーナーのイニシアチブ「Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)」は3月29日、石油・ガスセクターへのアプローチに関する加盟機関向けの新たなガイダンスを発行した。
今回のガイダンスでは、石油・ガスセクターは、気候変動が重大な経済・投資リスクをもたらすというNZAOAの認識を明確化。経済のシステミックリスク全体を軽減するために、加盟機関は、石油・ガスの燃焼から脱却する方法を検討する必要があるとした。
具体的には、石油・ガスセクターのロードマップとしては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の1.5℃ゼロまたは限定オーバーシュートシナリオ、ワンアース気候モデル(OECM)、国際エネルギー機関(IEA)の2050年までのネットゼロロードマップ(NZE2050)を指針とすることを規定した。
それに基づき、加盟機関は、油田やガス田への上流インフラへの投資をすべきでないと明言。但し、例外的に新しい石油・ガスインフラへの投資を継続することを選択する場合もあるが、その場合でも、上記のシナリオとの整合性を確保することを強く勧告した。
整合性の確保の仕方としては、投資意思決定だけでなくエンゲージメントや政策アドボカシーも可とした。また運用会社に働きかけることも有効とした。
同時に石油・ガスセクターの企業に対しては、上記シナリオによって確立された科学的根拠に基づくスコープ1、2、3の総量と原単位の双方の排出削減目標の設定を求めた。
政府・規制当局に対しても、適切に設計された炭素価格(カーボンプライシング)制度の導入や、イノベーションへの資金提供等、経済全体の行動を通じて、石油・ガス需要の削減と代替エネルギー供給の増加を促進できる制度的介入に、NZAOAとして焦点を当て、エンゲージメントするとした。
【参照ページ】Net-Zero Asset Owner Alliance outlines new guidance for oil and gas investments while calling on companies, policymakers and investors to align with 1.5°C pathways
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