インデックス開発世界大手米S&Pグローバルは2月8日、2021年版「Sustainability Yearbook」を発行した。RobecoSAMは毎年世界大手企業にESGに関する調査票を送付し、回答をもとに企業のESG評価「Corporate Sustainability Assessment(CSA)」を行ってきたが、2019年に同事業はS&Pグローバルに売却された。CSAは毎年、金融インデックス開発世界大手米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのDJSI(Dow Jones Sustainability Indices)のスコアとして用いられている。
【参考】【国際】S&Pグローバル、RobecoSAMからCSA含むESG評価事業を買収。ESGインデックス開発を完全内製化(2019年11月22日)
CSAは1999年に開始され、今年で21年目。Sustainability Yearbookは、CSAの結果概要をまとめたもので、各業界の評価トップ15%の社名が掲載される。さらに60点以上かつ上位1%の企業には「ゴールド」、57点以上で上位5%以内の企業には「シルバー」、54点以上で上位10%以内の企業には「ブロンズ」が付与される。今年は7,032社が調査対象となり、Sustainability Yearbookに掲載されたのは631社。そのうち70社がゴールド、74社がシルバー、98社がブロンズを獲得した。
CSAの評価手法は、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)とともに、企業の長期的に成長するためのイノベーションや市場成長等の経済的な側面もチェックされる。詳細の設問や評価ウエイトは業界ごとに異なる。2016年からは、政治献金や業界団体寄付金等公共的団体との関わり方、社会インパクト評価の実施等に関する要素も追加された。
各業界のゴールド獲得企業
- 総合電機:SKホールディングス(韓国)
- 自動車:BMW(ドイツ)
- 自動車部品:ピレリ(イタリア)
- 航空宇宙・防衛:レオナルド(イタリア)
- 産業機械:CNHインダストリアル(イタリア)
- 民生電子機器:LG電子(韓国)
- 通信機器:シスコシステムズ(米国)
- コンピューター・周辺機器および事務用電子機器:ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(米国)
- 電子装置・機器・部品:デルタ電子(台湾)、オムロン(日本)
- 電気部品・設備:シュナイダーエレクトリック(フランス)
- 半導体:ASE(台湾)
- 化学:PTTグローバル・ケミカル(タイ)、ランクセス(ドイツ)
- エネルギー設備・サービス:Saipem(イタリア)
- 石油・ガス採掘:PTT(タイ)、PTT Exploration & Production(タイ)
- 石油・ガス精製・販売:IRPC(タイ)、タイ・オイル(タイ)
- 石炭・消耗燃料:バンプー(タイ)
- 建設関連製品:オーウェンス・コーニング(米国)
- 鉄鋼:現代製鉄(韓国)、フォーテスキュー・メタルズ・グループ(オーストラリア)
- 金属鉱業:Teck Resources(カナダ)
- アルミニウム:ヒンダルコ・インダストリーズ(インド)
- 建設資材:サイアム・セメント(タイ)
- 医薬品:ロシュ・ホールディング(スイス)
- バイオ:バイオジェン(米国)
- 医療機器・用品:アボット・ラボラトリーズ(米国)
- 消費財:ユニリーバ(イギリス)
- 家庭用品:コルゲート・パーモリーブ(米国)
- 家庭用耐久財:アルチェリッキ(トルコ)
- 食品:タイ・ユニオン(タイ)、Grupo Nutresa(コロンビア)
- 飲料:タイ・ビバレッジ(タイ)、コカ・コーラHBC(スイス)
- たばこ:ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(英国)
- アパレル:バーバリー・グループ(英国)、モンクレール(フランス)
- 紙・木材:UPMキュンメネ(フィンランド)
- 容器・包装:BillerudKorsnas(スウェーデン)
- 商社:伊藤忠商事(日本)
- 住宅:住友林業(日本)、積水ハウス(日本)
- 建設・土木:現代建設(韓国)
- 不動産:Dexus(オーストラリア)
- 専門サービス:SGS(スイス)、ビューローベリタス(フランス)
- 商業用品・サービス:ウェイスト・マネジメント(米国)
- 金融サービス・資本市場:UBS(スイス)
- 銀行:バンコロンビア(コロンビア)
- 保険:チューリッヒ保険(スイス)
- ソフトウェア:SAP(ドイツ)
- ITサービス・インターネット:インドラ・システマス(スペイン)、アトス(フランス)
- 通信サービス:台湾大哥大(台湾)、トゥルー・コーポレーション(タイ)
- 電力:アクシオナ(スペイン)、テルナ(イタリア)
- ガス供給:エナガス(スペイン)
- 公益事業・水道:ヘラ(イタリア)
- メディア:Telenet(ベルギー)
- 交通および交通インフラ:BTSグループ(タイ)
- 航空輸送:ANAホールディングス(日本)
- 総合小売:丸井グループ(日本)
- 食品・生活必需品小売:統一超商(台湾)
- 飲食・レジャー:ヤム・チャイナ・ホールディングス(中国)
- ホテル・リゾート・クルーズ:ヒルトン・ワールドワイド(米国)
- カジノ・ゲーム:Tabcorp Holdings(オーストラリア)
- 医療サービス:シグナ(米国)
国別数では、タイが11社で初の首位。2位は米国の9位。3位はイタリアと日本の6社。日本は前年の2社から躍進した。その後、スイス5社、韓国と台湾が4社。
シルバー獲得の日本企業
- 本田技研工業
- コニカミノルタ
- 野村総合研究所
- NTTデータ
- リコー
- 双日
ブロンズ獲得の日本企業
- 中外製薬
- 日本たばこ産業(JT)
- LIXILグループ
- 三菱ケミカルホールディングス
- NEC
- NTT
- NTTドコモ
- 積水化学工業
- TOTO
- 横河電機
また、前年の調査から大きく改善し業界内上位15%に入った企業には「Industry Mover」のタイトルが付与された。
【評価】The Sustainability Yearbook 2021
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