2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにするシナリオと整合性のある投資ポートフォリオを実現することにコミットするイニシアチブ「Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)」は4月23日、ポートフォリオの気候変動目標設定のメソドロジーに関するパブリックコメントを開始した。締切は5月1日まで。
NZAOAは、2019年9月23日に発足。アリアンツ、仏預金供託金庫(CDC)、ケベック州投資信託銀行(CDPQ)、スイス再保険、Folksam、PensionDanmarkの6機関が発起人となり、9月23日に加盟した機関は他に、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、チューリッヒ保険、ストアブランド、Nordea Life and Pension、Alecta、AMF Fastigheterの6機関。その後、仏アクサ、英AVIVA、仏CNP Assurances、仏公的積立年金基金FRR(フランス年金準備基金)、イングランド銀行投資委員会と、イタリアのゼネラリ保険、ミュンヘン再保険が加盟した。
【参考】【ドイツ】ミュンヘン再保険、2050年までに投資ポートフォリオのCO2ゼロイニシアチブに加盟(2020年2月19日)
NZAOAは、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)と国連責任投資原則(PRI)と共同で事務局を運営。加盟19機関の運用資産総額は4.5兆米ドル(約500兆円)。
今回のパブリックコメントは、機関投資家が1.5℃目標を設定にするに当たり、適切なメソドロジーを業界全体で構築していくことにある。すでにポートフォリオの温度目標等で様々な測定指標が存在しているものの、NZAOAは十分ではないと判断。今回、既存のメソドロジーを開発したり関連する機関に直接質問票を送り、意見収集を実施した。同時に、他のステークホルダーに対しても、ウェブ上でコメントできる質問票を公開した。
質問票の中には、重要な観点として「インパクト」「フォワード・ルッキング」「GHGフットプリント」「ポートフォリオ単位の整合性」「科学的根拠に基づく脱炭素化」「ポートフォリオ・マネジメント」「テクニカルな前提」「セクター・バイアス」「気候シナリオ」「バック・テスティング」「カバレッジ」「ユーザビリティ」「オープンソース」「接続可能性」「コミュニケーション」を挙げ、それぞれについてメソドロジー開発で重要な視点を明記。それらに対する重要度や意見を募る形となっている。
NZAOAは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の「Implied Temperature Rise」ワーキンググループや、気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の気候ファイナンス・トラックとも連携していく考え。
今回の発表で、NZAOA自身は、新たなメソドロジー開発を担うことはないと言及。替わりに、既存の機関に、NZAOAの重要観点を踏まえたメソドロジー開発を促すことが今回のアクションの狙い。
【参照ページ】Call for Comment – Alliance Methodological Criteria
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