国際環境NGOの世界資源研究所(WRI)は9月4日、東アフリカでの再生可能エネルギーを拡大するため、同地域の各政府と起業家向けのデータプラットフォーム「Energy Access Explorer」を発足したと発表した。エネルギー政策立案者、エネルギー資金提供者、再生可能エネルギー関連起業家向けのオープンソース型プラットフォームとして運営していく。
今日、世界全体で8億4,000万が電力にアクセスできておらず、その大半はサブサハラに集中している。東アフリカでは、ケニアに1,300万人、タンザニアに3,800万人、ウガンダに3,100万人にいると見られる。WRIは、こうした人々に電力を届ける上で、データ活用による電力需要と再生可能エネルギーのマッチングは必要不可欠だと分析。パートナー20機関と協業し、データプラットフォームをリリースした。
WRIは、健康や貧困、教育等の課題に取り組むには電力は重要と指摘。同プラットフォームにより、東アフリカにおける再生可能エネルギーの潜在性の大きさを明確にした。例えば、電力が不安定で高価なディーゼル発電に頼りがちな学校や医療機関等を支援することができる。
ケニア
学校や医療機関のある地域の82%には太陽光発電の高いポテンシャルがあり、68%には水力発電の高いポテンシャルがある。
タンザニア
学校や医療機関のある地域の98%には太陽光発電の高いポテンシャルがあり、69%には水力発電の高いポテンシャルがある。
ウガンダ
学校や医療機関のある地域の93%には太陽光発電の高いポテンシャルがあり、60%には水力発電の高いポテンシャルがある。
また、同プラットフォームでは、エネルギー需要と電力活動、インフラや電力源へのアクセス等に基づき、各国での電力需要度を示した「Assistance Need Index」を算出した。例えば、タンザニアの太陽光発電のポテンシャルの高い地域の35%では、電力援助の必要度が最も高く、人口の51%が電力支援を必要としている。そのうえで、小規模水力発電の設置が便益に直結すると分析した。
これまで電力政策立案者と電力供給者は、異なるツールや尺度を用いてエネルギー需要を推定していたため、コミュニケーション・ギャップが生まれていた。今回のプラットフォームは、こうしたギャップを解消するように設計。エネルギー潜在性や人口密度、地形、収入格差等に関する20種類のデータセットを統合することができる。
今後は、学校や医療機関等を超え、より広く電力需要を捉え、より効果的な電力計画を支援することを狙う。さらに、需要分析を可能にすることで、再生可能エネルギー関連起業家の事業拡大の推進や、金融機関による電力化に向けた資金調達の効果の最大化も見込む。
【参照ページ】RELEASE: New Data Platform Helps Governments, Entrepreneurs Expand Access to Clean Electricity in East Africa
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