シンガポール銀行大手OCBC(華僑銀行)は4月16日、現在進めるベトナムでのギソン2石炭火力発電所とバンフォン1石炭火力発電所建設を最後に、世界中で石炭火力発電への新規融資を禁止すると発表した。再生可能エネルギープロジェクトへの融資を伸ばす。すでに過去2年間、石炭火力発電所案件には交渉にも参加してこなかったことも明らかにした。各国政府に対しても、石炭火力ではなく、再生可能エネルギーを提案していく。
またシンガポール銀行大手DBSも4月18日、世界中で石炭火力発電へのファイナンスを禁止したと発表した。高効率石炭火力も含めて全面禁止する。再生可能エネルギーに舵を切る。DBSは、2018年2月に石炭火力発電及び石炭採掘へのファイナンスに関する方向性を発表して以来、市場環境をモニタリングするとともに関係者との対話を続けていたが、国際エネルギー機関(IEA)の「世界エネルギー展望2018」での「持続可能な開発シナリオ(SDS)」や、IPCCの1.5℃特別報告書を分析したところ、石炭火力への依存は続けられないと判断した。2021年までに今回の新方針を全面適用する。
OCBCも参画するギソン2石炭火力発電所の出資比率は、丸紅50%、韓国電力公社(KEPCO)50%。また、国際協力銀行(JBIC)が限度額約5.6億米ドルのプロジェクトファイナンスを提供しており、シンジケートローンとして他に、韓国輸出入銀行(KEXIM)、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、新生銀行、DBS、マレーシアのMalayn Banking Berhadが参加し、合計融資額は18億6,900万米ドル。さらに、民間融資に対しては、JBICとKEXIMがポリティカル・リスクに関する債務保証を提供している。
日本政府が推進してきた石炭火力発電に対しては、すでに欧米の大手銀行はファイナンス禁止を決めている。残るはアジアの銀行だったが、今回ついにシンガポール大手が動いた。日本の石炭推進に対しては、ますます世界的な包囲網が形成されつつある。
【参照ページ】Our Approach to Financing New Coal-Fired Power Plants
【参照ページ】ベトナム社会主義共和国ギソン2(Nghi Son 2)石炭火力発電事業に対するプロジェクトファイナンス及びポリティカル・リスク保証
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