経済協力開発機構(OECD)は4月15日、対日経済審査報告書を発表。急速に進む高齢化と高い政府債務の状況を憂慮。歳出増加を抑制するには、医療・介護に焦点を当てるとともに、世代間公平性が高く財源安定性も高い消費税での増税を図り、税率を20%から26%まで引き上げるべきと提言した。
同報告書では、日本政府は2025年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化を目標としたが、ここ数年は方向感を見失っていると警告。世界経済の不確実性が経済見通しの重荷ともなるため、日本銀行の金融緩和政策は継続すべきと支持した。但し、過度に緩和的な金融政策が資産価格の高騰に油を注ぐような過度のリスク負担行為につながるおそれがあり、金融監督当局は金融機関に対しリスク負担の改善を促すべきとした。また、中央銀行による ETF買入は、銘柄によっては株価の過大評価につながる危険性があることも指摘した。
労働力減少への対応としては、企業が定年年齢を設定する権利を廃止するとともに年齢差別を禁止する立法措置を強化すべきと提言。他にも、残業時間を360時間の規制する新法の厳格運用、保育所の待機児童の解消、外国人労働者を呼び込むための教育プログウラムや賃金公平化等にも取り組みべきとした。
加えて、労働時間当たりの生産量がOECD加盟国の上位半数と比べて4分の1以上低いため、企業はコーポレートガバナンス改革を通じて賃金や設備への投資強化すべきとした。
気候変動対応については、高効率石炭火力発電ではなく、再生可能エネルギーの活用を促した。石炭回収・利用・貯蔵(CCUS)の規模拡大には不確実性が伴うことから、これに過度に依存することは気候変動対策目標の達成にとってリスクとなると危惧を評した。
【参照ページ】Further reforms in Japan needed to meet the challenges of population ageing and high public debt
【報告書】対日経済審査報告書
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