トムソン・ロイター財団は9月15日、社会的起業(ソーシャル・アントレプレナーシップ)の設立環境に関する世界的な調査レポートを発表した。世界経済の上位45ヶ国のうち調査アクセスができなかったイランを除く44カ国が対象。44ヶ国の世界ランキングも発表され、首位は米国だった。日本は44ヶ国中40位と振るわなかった。最下位はトルコ。
調査は44ヶ国社会起業に関する専門家各国20名ずつにサーベイを行った。専門家の構成は、半数が社会起業家自身で、残りが学者、投資家、政策担当者、起業支援企業関係者など。政治、経済、規制、文化等12項目について質問された。調査はトムソン・ロイター財団、ドイツ銀行、グローバル・ソーシャル・アントレプレナーシップ・ネットワーク(GSEN)、社会起業家のための財団UnLtdの4者が共同で、今年6月から7月にかけて実施した。
世界ランキング結果は、
- 米国
- カナダ
- 英国
- シンガポール
- イスラエル
- チリ
- 韓国
- 香港
- マレーシア
- フランス
米国、カナダ、シンガポール、英国など上位ランクの国はいずれも投資家へのアクセスが容易という共通項がある。また、インド、フィリピン、韓国も投資家へのアクセスは容易という評価だったが、これらの国では国内ではなく海外投資家からの資金調達が多いこともわかった。とりわけ、18歳から34歳のミレニアル世代や女性が社会的起業への投資に積極的である傾向も判明した。
社会的起業とは、NGOとは異なり、ビジネス手法を用いて社会課題の解決に取り組むことをいう。そのため、多くの国では組織形態が確立しておらず、税制区分もはっきりしていない。そのため依然として社会的起業の社会的認知が高まっていないことが世界的な課題であり、資金調達の難易度も高いと報告書は総括した。
日本は、調査12項目のうち、「政府助成金を得やすい」という項目が最高位の世界23位。「政府政策は社会的起業を支援している」が26位、「社会起業家は政府に商品を販売しやすい」が29位だった他は、いずれも30位以下。とりわけ、投資家からの資金調達、企業への商品販売、人材採用、社会的認知などでは世界で最後進である40位以下だった。
また調査では、社会的起業が飛躍している都市として、ベルリン、ロンドン、香港、サンティアゴ、ナイロビを挙げた。
【参照ページ】US named top country for entrepreneurs using business to do
【ランキング】The best place to be a Social Entrepreneur 2016
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