今、BRICsをはじめとする新興国で大きな問題となっているのが糖尿病患者の急増だ。その中でもロシアは現在糖尿病と診断された人だけでも400万人、潜在患者も含めればさらに多くの糖尿病患者を抱ええている。この問題を解決するべく、グローバル製薬大手のノボノルディスクは、同社のロシアにおける糖尿病問題への取り組み、および糖尿病が経済・社会もたらす悪影響を抑制する可能性についてまとめた報告書、"Investing in diabetes care in Russia"を公表している。
ノボノルディスクによると、糖尿病およびその合併症はロシアの人々の生活の質を低下させており、大きな経済的負担を生んでいるという。具体的には糖尿病患者の40~50%が診断時に合併症を有しており、年間125億米ドルにも及ぶ糖尿病医療費の42%が合併症の治療に充てられているとのことだ。
同報告書では、糖尿病の早期発見および適切な管理がもたらす社会的な恩恵は大きく、腎臓不全や深刻な失明といった合併症の発生率を大きく引き下げて生活の質を向上させるほか、何より合併症の抑制によりロシア全体で15億米ドル以上もの医療費の節約効果があるとしている。
また、同報告書はノボノルディスクが地元ロシアのパートナーとの提携を通じてどのように患者および社会、そして自社の価値を創造しているのかをまとめている。例えば、約15万の人々に対する糖尿病への意識喚起、21,000回を超える地元医療従事者の研修トレーニング、臨床研究開発への投資、地元に製造設備を新設し、地元産の最新インスリンを入手可能にする取り組みなどだ。
ノボノルディスクロシア支社のゼネラルマネージャーを務めるHenrik Bendix Dahl氏は「ノボノルディスクは長年に渡って地元のナレッジ強化とキャパシティビルディングへの投資により、人々の生活に取り組んできたが、今後もその取り組みを継続するつもりだ。しかしながら、糖尿病は複雑な課題であり、解決のためには協働による努力が欠かせない。我々のロシアにおける経験は、ポジティブな変革を起こす上でパートナーシップはとても効果的であることを示しており、我々は糖尿病患者のためのよりよい治療につながるさらなるパートナーシップを歓迎する」と語った。
製薬会社にとって次なる成長に向けた戦略市場は、紛れもなくBRICsをはじめとする新興国にある。これらの新興国ではかつてのような感染症に対するニーズもさることながら、経済発展によるライフスタイルや食生活の変化などにより、糖尿病をはじめとするNCDs(非感染性疾患)の患者数が急増しているからだ。新興国における積極的なCSRプログラムの展開は、グローバル製薬企業にとって次の数十年の成長を左右する重要な先行投資でもあるのだ。
ノボノルディスクのレポートは下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】Investing in diabetes care in Russia
【企業サイト】Novo Nordisk
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