英国小売大手のマークス&スペンサーは10月21日、自社サプライチェーンの労働環境改善に向けた取り組みとして、中国、インド、バングラデシュ、スリランカ、イギリスの5カ国に存在する46の製造工場で働く労働者64,230名に対し、モバイルテクノロジーを活用した労働環境に関する実態調査を実施したと発表した。これは、当初の30ヶ国、22,500名という目標を2倍以上も上回るものだ。
同社によれば、今回の調査の結果により、職場でのコミュニケーションといった領域において回答者により興味深い差が見られたという。例えば、「労働者が仕事に関する問題を抱えた際に、書面で不満などを提出する方法があるか?」という質問に対し、労働者よりも工場管理者のほうが肯定的な回答が目立ったという。
同社は今回得られたデータを職場内コミュニケーションに関する研修プログラムの開発に活用し、労働者の声に会社として応えていく姿勢だ。マークス&スペンサーでエシカル・トレーディング責任者を務めるFiona Sadler氏は「こうして労働者の声に耳を傾けることは、労働環境の安全や健康といった彼らの生活の質と、労働者の定着率や生産性といった製造上のビジネス課題との間にある点と点を結びつける上で役立つ」と語った。
今回同社が利用したモバイルテクノロジーはNGOのGood World Solutionsが提供する"Labor Link"というサービス(※参考記事「【アメリカ】ウォルト・ディズニー、サプライチェーンの労働環境を改善するモバイルソリューションに資金提供」)で、これによりはじめて労働者がハラスメントやいじめ、労働時間や上司とのコミュニケーションといったデリケートな問題に関して匿名で報告をすることが可能になった。
Labor Linkは、各地の労働者の状況に合わせて柔軟に最適なモバイル・テクノロジーを活用できる点が特徴だ。例えば、バングラデシュでは基本機能のみの電話機を利用し、あらかじめ録音された質問に回答するという形態をとることで労働者の識字率の低さに対応している。また、中国では労働者の間で普及率が高いスマートフォンのWeChatというメッセージアプリを通じてLabor Linkにアクセスすることができ、労働者が自分の好きなデバイスから回答できるようにしているとのことだ。
マークス&スペンサーとLabor Linkを提供しているGood World Solutionsの取り組みは、英国サステナビリティメディア大手のエシカル・コーポレーションが主催するResponsible Business Awards 2014.で“Best Business / NGO Partnership” にも選出されている。
サステナビリティ分野の先進企業として知られるマークス&スペンサーは、自社の定めた"Plan A 2020(2020年に向けた100のコミットメント)"に沿い、NGOと連携して最先端のテクノロジーを上手に取り入れながら、着実に自社のサプライチェーン改善を前進させている。
【企業サイト】Marks & Spencer
【団体サイト】Good World Solutions
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