国連グローバル・コンパクトは6月2日、2013年度の活動報告書を公表した。同報告書には国連グローバル・コンパクトのこれまでの功績や主たる活動内容、パートナー、ガバナンス状況などについてまとめられている。
同報告書の公開には、国連グローバル・コンパクトに沿って自社のサステナビリティ活動を展開している企業や組織に対して同イニシアティブの透明性や説明責任を果たすという目的もあり、資金源や財務に関する情報なども掲載されている。
2013年の実績としては、3年に1度開催されるGlobal Compact Leaders Summit(グローバル・コンパクト・リーダーズ・サミット)やCOP19でのCaring for Climate Business Forum(気候変動対策ビジネスフォーラム)などを含む45のイベントを開催し、25の出版物を刊行したほか、腐敗防止や気候変動、エネルギー問題、水問題といった社会課題に対処するためのパートナーシップや共同アクションを束ねるUN Global Compact Business Partnership Hub(国連グローバル・コンパクト・ビジネス・パートナーシップ・ハブ)を新たに設立するなど、様々な活動を展開した。
同報告書によれば、2013年の新規署名組織数は2011年をピークに2年連続減少しているものの、総署名数は毎年着実に増加し続けており、2013年の12月31日時点で世界145ヶ国から7,950の企業と4,119の非営利組織(NGO・教育機関など)、合わせて約12,000の組織が署名している。最近は特に非営利組織の割合も高まってきている。
地域別の内訳としてはヨーロッパの企業・組織が4,000以上と最も多く、次いでラテンアメリカ、アジアと続く。ヨーロッパでは従業員250名以下のSME(中小企業)が半数以上を占めている点も特徴の一つだ。
また、2013年は国連グローバル・コンパクトの認知度が更に高まった1年でもあった。報告書によれば、2013年は8万以上の企業や組織が同イニシアティブのウェブサイトを訪れたほか、Bloomberg(ブルームバーグ)やCNBC、The Guardian(ザ・ガーディアン)、Reuters(ロイター)などを含む主要メディアでのプレスリリース露出量は過去最高となり、ソーシャルメディアにおける言及数も2012年の2倍以上に増えている。
更に、2013年度に国連グローバル・コンパクトが特に力を入れたのは、同イニシアティブの普及を推進するために組織されている世界中のローカル・ネットワークの基盤強化だ。現在ある101のローカル・ネットワークとの協力関係や説明責任を強化するためのLocal Network Advisory Group(LANG)が設立されたほか、カナダやグアテマラ、カザフスタンなどを含む多くの国で国連グローバル・コンパクトの普及が進められた。
また、既存のローカル・ネットワークが地元企業のサステナビリティ活動やサステナビリティ報告をしっかりと支援できるように数多くのイベントやトレーニングなども開催された。新興国や途上国で事業を営む地元企業の事業慣行を変革するためには、より地元に根差した草の根レベルでの啓蒙、支援活動が重要だということだ。
国連グローバル・コンパクトは2000年に発足されたばかりだが、既にグローバルサステナビリティのスタンダードとして非常に影響力のあるイニシアティブとなっている
報告書内にある署名企業へのアンケート「国連グローバル・コンパクトはどのように自社のサステナビリティ・パフォーマンスを向上させるのに役立っているか?」という問いに対しても、「優れた実践例の収集・共有」「ツールや指針の開発・提案」「トレーニングの実施」などが上位に挙げられているなど、同イニシアティブをしっかり実務に活かしている企業の姿が見て取れる。
今後も国連グローバル・コンパクトの更なる発展と進化により、グローバルレベルでサステナビリティへの取り組みが量・質ともに高まることを期待したい。
2013年度の活動報告書ダウンロードはこちら(PDF)から。
【団体サイト】United Nations Global Compact
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